緊急事態宣言を巡る動きが激しかった3月上旬であるが、その中であったGo Toキャンペーンの当面の再開は難しいという見解は春の行楽シーズンを想定していた観光事業者には、大きな痛手となったことは間違いない。しかしながら落胆ばかりもしていられないので、春の行楽シーズンからゴールデンウイークまでGo Toキャンペーンの再開はないかもしれないという想定で、作戦を組み立てる必要がある。
まず、状況としては、報道でもあるように2月後半より人出は確実に増えている。特に緊急事態宣言の解除となった都市圏(中部、近畿、九州)を含むエリアでは顕著であった。そして、予約は非常に直近化している。そのため、現状3月後半の春休みから4月までの予約状況が芳しくなくとも、諦めることなく集客対策を打つことが大事である。
現時点で、最も効果があるのは、自治体が実施する県民限定キャンペーンである。大手OTAサイトの検索ワードでも軒並み、上位に来ており、対象県のエリアの予約が急上昇している。今後も各自治体で活発化する可能性もあり、制度適用の条件があるので、それに沿うような対策が必要である。
また、現状においてマーケットより支持されている商品は下記三つに大別できる。(1)新型コロナ対策型プラン=「露天風呂付き客室」や「お部屋食」「お食事処個室」などのいわゆるおこもり系プラン。(2)グランピングやキャンプなどのアウトドア系プラン。(3)お得な料金設定のプラン。(1)や(2)は昨年にも見られていた傾向であるが、(3)はGo Toを経て、お客さまの中にもGo Toはないが、Go Toのようにお得なプランがあれば、旅行に行こうかというマインドが存在している状況である。
とはいえ、Go Toキャンペーンのような35%オフというプランを実施するのはなかなか厳しいと思うので、後は商品設定の見せ方、プレゼンテーションの仕方が大事である。それにより成約率は全く変わる。実際にこの状況下でも昨年並みの売り上げを確保した施設も存在している。そのような施設は早めにマーケットの状況を把握し、諦めることなく市場動向にあった商品を投入した施設である。
もちろん感染防止対策を講じることが全てのベースにはなるが、Go Toが当面再開されないと落胆するのではなく、集客策を講じてほしいと思う。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)