今号では、恒例の年末年始の動向について述べたい。緊急事態宣言が解除されたこのタイミングで一気に活発化しているので、いったん見直しをしてみてほしい。
あくまで一般的な動向となるが、まずは、12月31日が例年通り(例年以上に)突出した需要となっている。そもそもリピーター需要で埋まる宿も多いため、既にエリアで検索してみても、宿泊できる施設が相当少ないというエリアも珍しくない。次いで、1月1日の需要も安定的に高い。次に、やはり12月30日と1月2日の需要が高くなっている。1月3日が月曜日のため、1月2日も弱まる可能性も懸念されていたが、現状ではその影響は感じない。また、12月29日も一般的には仕事納めということもあり、12月29日の需要も比較的堅調である。
そして、意外なことに今年度は1月3日も比較的動きがある。お正月三が日のスパンが短いと仕事始めが1月4日の人も多く、低調に終わることが多かったが、今年度は比較的堅調に動いている。とりわけ、低需要を見越して価格を下げている施設では今まで上げた日程よりも予約状況が入っているという施設もあるので、注意が必要である。
また一部の人気旅館では、中心日となる日程が取れないため、12月28日や1月4日といった周辺の日程にまで予約が伸びてきている。今後、年末年始の前にGo Toキャンペーンが再開されると、需要に拍車が掛かることが予測されるので、そのことを見越しての戦略を練る必要がある。一例を挙げれば、「あらかじめ単価を上げておく」「キャンセル防止のためにカード決済限定にする」などの対策である。
最後に、こちらは懸念であるが緊急事態宣言の解除に伴い、リベンジ消費ともいえる動きが活発化しており、一部の施設では活況な予約状況から人手不足に陥るケースも出てきている。長引くコロナ禍の影響で観光業界から人材が流出してしまったことは想像に難くない。そのような中で、いきなりコロナ前の水準に需要が戻ったとせよ、急には受け入れ態勢が整わないことも想定されるので、今のうちから年末年始は満室になるという想定のもとでオペレーションの最適化を考えておくことも同時に必要になるであろう。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)