前号では2021年の振り返りを行ったが、今号では、これからのホテル旅館業界について述べたいと思う。例年通り多分に主観が入った内容ではあるが、ご容赦いただきたい。キーワードは今年も三つに絞り、「付加価値化」「SNS」「直販化」としたい。
まず付加価値化であるが、端的に言えば「ホテル旅館に付加価値(=魅力)を付けて価格競争から抜け出して、旅行者に選ばれる施設になろう」ということである。当たり前のことであるのだが、このことの重要性が増す。再三述べてきたが、アフターコロナでは個人旅行&オンライン旅行が主役となるため、旅行者に選ばれる施設になることが極めて大事になる。
昨年度からの観光庁の支援策を見ても、「高付加価値化」という文言がそこかしこで使われている。来年度も同様の支援策が行われるので、自施設の高付加価値化に向けて、何が有効になるのかを改めて考えることが重要である。
次にSNSであるが、20代や30代の方にとっては当たり前のツールであるが、ご年配の旅館ホテル経営者にとっては未知の領域となる部分もあるかもしれない。しかしながら、今後の消費者動向としては外せないので、ぜひともご理解をいただきたい。既に20代や30代の中では、GoogleやOTAではなく、Instagramから旅行を探すという層が存在している。従って、SNSマーケティングをきちんと実施しないと若い世代を取り込めない可能性が生まれてくる。
また、SNSは付加価値化とも相性が良い。魅力的な付加価値化に成功した宿は、旅行者自身が発信者となり、そのコンテンツについてSNSを通じて発信してくれるようになる。すると、拡散効果により集客することができるようになるという好循環になる。
最後に直販化であるが、その名の通り自社直接販売の強化である。これまでにもホームページでの予約取り込みなど多くの施設が取り組んできた事項であるが、前述のSNSと組み合わせてさらなる強化が可能となる時代が到来する。
本号で全て記載することも難しいので、各項目については追って詳細は掘り下げていきたいと思うが、アフターコロナを迎えるにあたり新たな局面を迎えていることは疑いようがない。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)