常照寺 吉野太夫花供養(京都市)
日本で一番「島原太夫」と縁の深い「常照寺」。
島原太夫とは、天皇に謁見が許された最高位の官位「正五位(しょうごい)」を持ち、公家や大名などに芸事を披露する女性のことを指す。
島原太夫の中でも寛永三名妓・天下随一希代の太夫とうたわれた名妓「吉野太夫」が帰依し、眠る場所が常照寺だ。そこで毎年4月第2日曜「吉野太夫花供養」が行われる。
島原太夫は現在、たった4人。その希少な島原太夫を何人も見られるという非常に貴重な1日となる。
まず最初は「太夫道中」。
神社仏閣の神職や高僧のお練りを様式化したもので、見所は「内八文字」という足さばきだ。この太夫道中は「花魁道中」とは全く違う。「太夫」は茶道、詩歌、琴や笙(しょう)などの管弦、香道、華道や舞と諸芸に秀でた芸妓で宮中文化が由来。それに対して芸舞妓は町衆文化、花魁は娼妓(婦)の文化。花魁は島原太夫のファッションをまねて、江戸で大流行しモデルのような存在でもあった。そのため、太夫、舞妓、花魁は似ているようで全く違う存在だ。
もし太夫道中を見ることができたなら、公家言葉の「こっち」が由来の「こったいさん」と呼ぶのが通。太夫の名前は太夫道中を先導する赤い着物を着た禿(かむろ)の背中を見ると太夫の名前が大きく刺繍されているのですぐ分かるから安心だ。
太夫道中の次はメインイベントである太夫の奉納演奏や舞が行われる。胡弓や琴の演奏、お客さまとの顔合わせで最初に必ず行われる「かしの式」や、太夫だけが舞う「いにしえ」はぜひ見ておきたい。
境内では野点が行われ、太夫によるお手前がある。茶席は他にもあり、吉野太夫の愛した吉野窓の遺芳庵ではお抹茶、書院での煎茶席、さらには軽食のおそばもある。
常照寺に訪れ、吉野太夫が23歳の時に寄贈した朱塗りの山門「吉野門」で記念写真を撮ってみてはいかがだろうか。
(毎日「京都散歩の旅」なカメラマン・佐々木美佳)
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太夫道中や茶席、舞などが行われる