【オマツリジャパンの毎週祭日 137】温泉街で24時間続く祭り お祭りトラベラー・髙橋佑馬


法螺貝を鳴らしながら露天の合間を進む

厄除け地蔵尊大祭(山梨県甲府市)

 山梨の県庁所在地といえば甲府だが、こちらに甲府三大祭りというものがある。2月に行われる「大神宮祭」、5月開催の「正の木祭り」、そして今回訪れた「厄除地蔵尊大祭」だ。

 このお祭りが行われる舞台は、甲府駅から北西に少し進んだ湯村温泉。武田信玄の愛した名湯としても人気が高い温泉地だ。その歴史は古く弘法大師による発見という説もあるが、少なくとも信玄の時代には湯治場として認識されていたようだ。

 この湯村温泉のランドマーク的存在である福田山塩澤寺が、厄除地蔵尊大祭の舞台である。塩澤寺は、まさに弘法大師が訪れたことにより、808(大同3)年の開創とされる古刹だ。こちらで毎年2月13、14日の2日間に、厄除地蔵尊大祭は開催されている。

 お祭りの当日は、温泉街にたくさんの露店が並び地元の子どもたちでにぎわう。露店街となっている参道を抜けると現れる立派な山門。その眼前には、正午から始まるお祭りを前に多くの参拝者が並んでいた。つかの間正午になり、法螺(ほら)貝の音が響きわたる。山伏やお坊さんが行列を成し現れ、厄除地蔵尊大祭の開幕だ。

 行列は温泉街を進み、お祭りの開催を知らせながら練り歩く。この際にお坊さんが沿道の客に渡していくお札がユニークだ。カラフルな面に「天下泰平」「万民豊楽」「厄難消除」「開運招福」といった言葉が書かれ、お財布などに入れて持ち歩くとご利益を得られるんだとか。ぜひともこのご利益には預かりたいものだ。

 また、山伏が真っ白な御幣で行うおはらいも受けておきたい。1周し帰ってきた行列と共に境内へと進むと、石段を登り切った先にある地蔵堂での祈祷が始まる。火をたき、お経が読まれていく様子はどこか神秘的でもあるものだ。

 このお堂にはご本尊の石造地蔵菩薩坐像がいるのだが、お祭りが行われている24時間は耳を開いて願いを聞いてくれるといわれる。ご本尊に願いを伝えたら、山門をくぐり温泉へと進むのも良いかもしれない。

(お祭りトラベラー・髙橋佑馬)

【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com

法螺貝を鳴らしながら露天の合間を進む

 
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