日田祇園祭(大分県日田市)
大分県というと別府湾の青い海や湯煙の立ち上る温泉街、由布岳の周りに広がる緑の草原を思い浮かべる方が多いかもしれない。今回訪れた日田市は、そんな大分県の違う顔を見せてくれる街かもしれない。
大分県の最西端、福岡県や熊本県と面する山間の盆地にある日田市は、古くから水や木材に恵まれ発展してきた土地だ。北部九州の真ん中に位置することからも交通の要所として知られ、江戸時代には江戸幕府直轄地の天領として存在感を放ってきた。こんな昔から元気のある街はおもしろいお祭りがあるに違いない。ということで日田市の夏のお祭り「日田祇園祭」へと行ってきた。
日田の江戸時代からの中心地、豆田町。この地区は商家や土蔵の白壁が連なり、天領のかつての繁栄をしのぶことができる。通りのお店を見渡すと、名産の日田杉を使った下駄屋さんや漆器屋さんが並び風情がある。7月の20日過ぎの土・日曜、ここに豪華絢爛(けんらん)な山鉾が勢ぞろいする。日田祇園祭は名前の通り有名な京都の祇園祭に通じるお祭りで、なんでもお手本にしているという話もある。お祭り期間中は、市内四つの神社から9基の山鉾が神輿(みこし)のお供で街を練り歩く。
さて、豆田町へやってくるとお囃子(はやし)の音色が聞こえてくる。音の方向に目をやると、空高く装飾が積みあがった山鉾が登場し圧巻だ。赤に緑にカラフルな飾りが付けられ、にらみを利かせる人形が乗せられているのが特徴的。夜になると提灯が付けられ、ライトアップされた様子はまるで竜宮城を見ているかのようだ。地元の人に聞いたところによると、高さ10メートルを超える山鉾があるというのも驚きだ。それが古い街並みを勇壮と進んでいく。
山鉾に続いて通りを進んでいくと何やら良い香りまでしてきた。日田名物のウナギを焼いている香りだ。熱い中で山鉾を見てきたことに小休止を打とうか。祭囃子を聞きながらウナギをつつき、日田の名水で仕込まれた日本酒をきゅっとやるのも良いかもしれない。
(お祭りトラベラー・髙橋佑馬)
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竜宮城のような色とりどりの山鉾が勢ぞろい(写真提供・日田市観光課)