稲穂祭ーきつねの嫁入り(山口県下松市)
11月3日、参加した人たちが良縁に恵まれるという伝説の奇祭、稲穂祭を見に山口県下松市花岡へ足を延ばしてみた。下松市という市名は、この地にある松に星が降った、七星降臨伝説に由来している。
稲穂祭の神事の一部として行われる「きつねの嫁入り」は、人力車に乗り、狐(きつね)面を付けた新郎新婦を中心に50人のお供たちと、地域のお祝い山車・神輿(みこし)を含め、総勢500人近い関係者で盛大に行われる。多くの参列者たちの歓声の中をゆっくりと進んでいく姿はとてもミステリアスな雰囲気だ。
会場へのアクセスは電車で来るのが散策もできて便利だが、臨時駐車場からピストンバスも出ているため、車でも安心して楽しむことができる。
到着したらまずは稲荷神社に参拝しよう。こちらの神社には、榊に三角の油揚げとローソクが付いたお供えをするという独特な方法でお参りする。
狐の嫁入りは午後2時ごろから開始され、新郎新婦が登場すると、沿道では「誰、誰?」とうわさ話が起きるが、祭り関係の方でもごくわずかの人にしか知らされていない。秘密が多いほどミステリアスでいい。ちなみに、新郎新婦になると良縁に恵まれ、それを見に来る方々も良縁があるといわれている。
お祭りのクライマックスは広場での三々九度儀式だ。
狐面を付けた仲人や親族が結婚式を執り行い、お相撲さんが優勝した時に飲む大きな朱色の杯で、一口目は神へ、二口目は家族へ、三口目は参加者へと感謝を込めて飲みほし、会場全員で「万歳」そして楽しみの餅まきで終了となる。
七星降臨伝説の残る地で、きつねの嫁入りへの参加を通し、下松市に残るミステリアスな伝説の世界を体験してみてはいかがだろうか。
(お祭りフォトライター・枝広光則)
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狐面の新郎新婦の登場に沸く参加者たち