【コロナ新時代への提言】ジャパニーズイングループ会長・タートルイン日光会長 福田金也氏


福田氏

コロナ禍での現場の役割とは

 100年前のスペイン風邪は、日本国内でも約2300万人が感染し、約38万人の死者を出し、終息には人口の6~7割が免疫を持つ集団免疫が達成したためと記録されている。新型コロナウイルスでは感染者数が約58万人、死者数が約1万人(4月27日現在)、割合でみると感染者数で2.5%、死者数でも2.6%程度であり、終息のための集団免疫を達成するにはやはりワクチン接種が鍵となる。接種は海外では人口の約5割が終了した国もあり、国内でも医療従事者などから開始され「GW明けには本格化」を考慮すると来年には国内旅行のみならず、インバウンドも再開されるのではと期待が持てる。

 そこで中小旅館の集まりであるジャパニーズ・イン・グループ(JIG)がアフターコロナに向け、現場ですべきこと、役割を考えたので、参考になればと思う。

 まずは安心、安全の確保。JIGでは3密の回避、手洗い、咳エチケットはもちろんだが、加えてスタッフや旅行中に体調不良となったお客さまを対象に抗原検査の実施を予定している。唾液を採取し15分ほどで感染の有無が確認できるものを採用。感染が疑われる場合には隔離や保健所への連絡等、2次感染防止の対策、措置を早急に講じることを目指す。スタッフには定期的な検査を、お客さまにはチェックインの際の検温、健康チェックシートへの記載内容等により実施する。国内旅行では具合が悪い場合には旅行を控えるが、訪日外国人の場合、具合が悪くなっても日本国内に宿泊しているので、お客さま、スタッフ双方の安心、安全を担保するために有効と思われる。

 次に考えるのはお客さまとの距離感。JIGは数年前から「顔の見える旅館」を目指してきた。おもてなしは人と人との関係で生まれ、最高の思い出となるからだ。しかしコロナ禍では「非対面」「非接触」が取りざたされている。以前新聞にゴミを拾うことができない「ゴミ箱ロボット」など「弱いロボット」が記事になっていた。弱い存在を助ける体験が人の優しさを引き出す、との内容にJIGとお客さまの関係のようだ、と思いこの距離感を保っていたいと考えたからだ。

 もう一つやるべきことは情報発信の勉強。SNSにはブログやツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどがあるが、理解している人は多くない。内容を知り目的に合っているのか、を検証してはいかがか。JIGは今年度情報のストックを目的にブログを選択、定期的に掲載予定だ。SNSでの情報発信は片手間ではできない。仕事として時間も労力も情熱もなければ成功しないことを肝に銘じなければならない。

 JIGは現場での役割を果たすことで、アフターコロナに向けて動きだした。皆さまが観光業界それぞれの立場で役割を果たし、1日も早い旅行需要の回復を願う。

 
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