販路開拓へ地域ブランドを支援
関西は魅力的な地域固有の資源が豊富だ。特産品や名産品、観光名所など、思い浮かぶまま挙げても10や20はすぐに出るのではないだろうか。
これら地域資源について、海外のファンを増やし、新たな販路開拓につなげてもらおうと、近畿経済産業局では、地域ブランド支援を重要施策と位置づけて取り組みを進めている。
その先に見ているのは、2025年の「大阪・関西万博」だ。2820万人の来場者数が想定されており、開催会場近くでなくとも、地域資源をアピールする絶好の機会が到来する。
昨年10月には、あと4年余りの時間、局と一緒になってブランディングを目指す地域資源を10のモデルとして選定した。鯖江のめがねや泉州タオル、奈良酒、和歌山ニットなどだ。
それぞれの地域に、局の担当者が入り込み、企業や団体、地元行政と一緒になって戦略策定や課題解決に取り組むなど、いわゆる伴走型のサポートを進めている。
■地域資源とツーリズム
地域に入り込み、職人やメーカーの方々と話をする中で、心に留まった声がある。
大都市にある実店舗での販売や、Eコマースの本格導入を目指している一方で、多くの方に地元を訪れてもらい、ものづくり現場を体験しながら購買してもらいたいという声があることだ。いわゆる「コト消費」だ。新しい言葉ではない。物見遊山型観光の次は体験観光というのは、以前からよく耳にしていた。
ではなぜ心に留まったかというと、観光ではなく、作り手の立場から出た声だからだ。正直、コト消費とは作り手にとって手間がかかる割には、メリットが少ないと思っていたが、そうではないと言う。
小売店まかせでは、職人が商品に込めた想いを消費者に伝えきることができないことがあるというのだ。そうなれば価格勝負になるのは必至だ。ファンを作ればリピーターが増える。ファンが増えれば、価格競争と異なる次元で勝負ができるというわけだ。
昨今、ファクトリーツーリズムに取り組む地域も増えている。注目すべきは必ずしも大手の旅行関連会社が関わっているわけではないということ。職人やメーカーが企画、運営する「コト消費」は、地域ブランド構築の重要な要素なのかもしれない。
■つながること、ベクトルを合わせることがカギ
地域資源とツーリズムしかり、重要なことは、これまで接点が無かった人や組織がつながること、そして関係者のベクトルを合わせることだ。関西には地域ブランドを応援してくれる人や企業など、いわゆる応援団はそろっている。国や支援機関等の施策も充実している。多くのつながりの中で、地域ブランドがさらに付加価値を高め、世界へ羽ばたくことをめざして、微力ながら引き続きサポートをしていきたい。