【コロナ新時代への提言】観光庁 国際観光部参事官(MICE・国際関係) 桃井謙祐氏


桃井参事官

「新たな旅のスタイル」を普及

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、テレワークやオンライン会議が普及するなど、働き方が多様化し、会議等のあり方も大きく変わった。感染状況が収束した後も、コロナ禍を機に加速したオンライン化の流れ等は継続するものと考えている。

 新たな時代のMICE誘致に向けて、観光庁では、関係者のニーズも踏まえながら、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型MICEの開催ノウハウなどの導入支援等を行っていく予定である。あわせて、国際的な機関が実施するMICE関連施設向けの感染症予防対策認定制度について調査を行い、4施設の認定取得を支援するとともに、今年3月に実践的な取得マニュアルを公開した。

 また、観光庁では、新たな旅行機会の創出と旅行需要の平準化を図る観点から、ワーケーションやブレジャー等の仕事と休暇を組み合わせた旅行を「新たな旅のスタイル」と位置付けて、その普及に向けて取り組んでいる。

 ワーケーションは、送り手となる企業にとっては、社員満足度の向上、人材確保、イノベーションの創出など、経営課題の解決につながることが期待でき、また、従業員にとっては、働き方の選択肢が増えるとともに、リフレッシュやモチベーション向上などの効果が期待される。さらに、受け入れる地域側にとっても、関係人口の拡大や企業との関係性の構築による地域の課題解決への寄与等のメリットが挙げられることから、ワーケーションの普及は、企業、従業員、地域が三方良しの持続可能なモデルにつながると考えている。

 一方、昨年度、観光庁が実施した実態調査においては、ワーケーションの認知度は約8割にのぼるものの、経験者の割合は約4%にとどまっており、まずは、その意義・効果などを周知し、観光業界や経済団体とも連携して、実施に向けた機運を醸成する必要があると考えている。そのため、企業・地域を対象として先進事例や導入手順等を整理したパンフレットの作成、企業の経営層等を対象としたオンラインセミナーの配信、これらの情報をまとめた特設ウェブサイトの開設等を行った。

 今後は、企業と地域のマッチングを行うモデル事業を行い、企業および地域双方の環境整備を支援する予定。40程度の企業・地域を対象に、それぞれアドバイザーを派遣して実施に向けたサポートをした上で、実際に地域でワーケーションのトライアルを体験していただき、企業や従業員にとっての効果も検証しながら、導入の成果や成功のポイントなど発信していきたいと考えている。本事業を通じて取り組みが定着し、新たな滞在需要の創出や、企業・従業員と地域の継続的な関係性の構築につながることを期待している。

 
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