全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)のポストコロナ調査研究委員会(大木正治委員長)は5日、東京の全国旅館会館で第1回委員会を開いた。旅行需要を喚起する「県民割」など県独自のキャンペーンについて、近隣エリアにも対象を広げたキャンペーンの実施を各県などに要望することを確認した。コロナ対策で効果を上げている山梨県の現地視察報告も行った。
県民割はGo Toトラベル事業に先駆けて各県で行われた需要喚起策。一定の効果を生んだが、人口が少ない県などは市場規模が小さく、効果が限定的とも指摘されていた。
Go Toトラベル事業の再開が不透明な中、県による事業のさらなる実施が期待されるが、「県民限定とした促進策のみでは効果は限られており、組合員施設の厳しい経営状況が続き、地方経済も疲弊する」と、対象範囲の拡大を要望する。
委員会は「『地域観光事業支援』(県民割)の対象範囲拡大に関する要望書」案を作成。全旅連正副会長の承認を経て、各県や中央省庁に提出したい考えだ。
新型コロナの感染者数を低く抑える山梨県の現地視察を委員3氏らが6月28日に実施。その報告も行った。同県は宿泊施設や飲食店対象の「やまなしグリーン・ゾーン認証」を制度化。宿泊施設1198軒が認証を受けている。
視察を案内した同会委員で山梨県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の笹本健次氏(常磐ホテル)は「40項目ほどの厳しい対策が必要で、小規模施設はとてもできないと思ったが、県から多額の補助金が出て、皆がこぞって行うようになった」と現地事情を説明。
全旅連アドバイザーの羽室文博氏は、昨年5月という早い段階で構想を提唱した知事の先見性と実行力、宿泊事業者の積極的な協力姿勢が功を奏していると評価。他県が進めるに当たり、負担が増える事業者の協力をどれだけ得られるかが普及のポイントとした。