「未曽有」という言葉を近年では毎年のように耳にする中、「真の未曽有」がまさにこのコロナ禍と感じている多くの国民がいることだろう。
1年以上にわたり長引く、世界的なパンデミックの行く末にはどんな未来が待っているのか? 誤解を恐れず告白すると、私は不安の中にも変わっていく世の中を俯瞰的に捉えると日々をエキサイティングに過ごしている。
私は経営者にとって大切なことは近視眼的に物事を捉えることより常に俯瞰的に物事を捉える視点だと考える。今だからこそ、過去とは「考え方」や「行動」を変えなければ明日は無いのではないか。
あるCMのフレーズを借りると「変化から逃げるのではなく、変化から隠れるのではなく、変化に慌てるのではなく、変化から目をそらすのではなく、変化に翻弄(ほんろう)されるのではなく、変化を作り出す人間になる。不可能だと思うか、一歩足を踏み出すか?」。
私は今春まで全旅連青年部部長を務めさせていただいたが、私が青年部に入部した16年前とは全く比にならないほど今の若い青年部員(20代後半~30代)には優秀な人材が多い。経験と発想のバランスを保ち、チャレンジを続けることで2年間を仲間と共に乗り越えてきた経験は何事にも代え難い素敵な「とき」であった。
今、われわれが過ごしているコロナ禍は今後中途半端を許さない、世の中の「二極化」をより一層促進する事象だと考える。どこにでもある旅館やホテルでは、今まで以上にお客さまから選ばれなくなるのは必至ではないだろうか。お客さまと宿との相利共生「Give&Take」が肝心な時代を生き抜くには、旅館やホテルからしっかりと自己アピールしなければ認知も満足もいただけない。結果、最悪のシナリオに残念ながら当てはまる未来は容易に想像できる。
幸いなことに現代においては誰もがさまざまな情報をインターネットによって手軽にキャッチできる。必要不要の取捨選択を誤ることなくジャッジし「能力を高める努力」と「無い能力を補う努力」を怠らずコロナ禍を乗り越えていきたいと考えている。
(委員・鈴木治彦=岡山県奥津温泉・名泉鍵湯 奥津荘)
◇ ◇
【委員会より】
コロナ禍という非常事態の中を全旅連青年部長として八面六臂(ろっぴ)の活動をされてきた鈴木委員。変化に対応していくという気概を強く感じさせてくれます。ポストコロナ時代は、これまでとは違う世の中である、という認識も重要ではないでしょうか。その違いを活用して、宿泊事業を再生させていく。自らの資源と環境の分析を通じて、戦略を立て、実行することが求められていると言えそうです。