【コロナ禍を乗り越える 宿経営サバイバル塾 5】地元観光の魅力引き上げが責務 全旅連ポストコロナ調査研究委員会


 昨年より、世界にまん延している「新型コロナウイルス」の流行は、早や1年半がたとうとしている。ようやくワクチン接種で出口が見えてきたように思えるが、本当の出口は、完全な線を引かれたわけでも、約束されたわけでもない。

 そこで、このコロナ禍で逼塞(ひっそく)している観光宿泊産業は、今は耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで次の一歩を踏み出すための準備期間と捉えるべきではないだろうか。全国民の大多数にワクチンが普及した後、急激な回復産業の一つと捉えられている「外食産業」「アーツ・エンターテインメント産業」そしてわれわれ「旅行産業」は、その急激な回復で人手不足=給与の上昇につながることも予想される。

 「経営者は短期的に厳しい場面に立たされる」との識者の予想だが、対応するには、自社への消費単価をいかに上げるか?上がった価格にその魅力が追随できているか?少ない人数で質の高いサービスをどう提供できるか?が大切である。人手不足には働き手が会社に魅力、意義を持つか?が大きく影響し、地元観光の魅力引き上げが責務となる。

 経営者は自社を取り巻く観光地にもう一つ色付けをする時期が今ではないだろうか。日本中個性あふれる魅力ある観光地が存在するが、私の住む京都では、観光がどの地域より特出し、今さらどう色付けするか?と問われることがある。

 しかし、昨今話題になる「マイクロツーリズム」を自社なりの色付けをすると、1200年の歴史を持つ古き都だから見いだせる、連綿と伝わる知られざる数百年を超える歴史が、同じ町内、同じ区内に点在している。

 そこに育った私自身が当たり前で見過ごした、観光になり得るコンテンツが若者たちとの交流でたくさん提案していただいた。

 今必要なのは社交の再考である。連携を取り、実際の目玉の観光になり得る物か? 今なら時間をかけて考えられる。

 異業種、異なる年代層の方々に、今まで聞けなかった自社の事はもちろん、その地域について意見をたくさん仕入れることをお勧めしたい。

 サービス業こそ人間である証しと言われる識者の言葉が胸に刺さる。

 (委員・田中美岐=京都府京都市・日昇別荘)

    ◇  ◇

 【委員会より】

 ワクチン接種の進行でコロナ禍の出口も薄明かりがさしてきています。しかし、宿泊事業者の多数がこれまでとは異なる時代の到来を想像しています。その対処の一つは、やはり足元の資源の再検討ではないでしょうか。田中委員が指摘されるように新しい人材による評価も重要な視点と言えそうです。そういう新しい視点を受け入れ、形にする活動が求められていると言えそうです。

 
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