今、世間を「顧客満足から顧客感動へ」というフレーズがにわかににぎわせていますが皆さんは、その「感動」の先に思いをはせたことはあるでしょうか?
日頃、よく口にするCSやESの言葉に共通する「S」は「満足」を表す英語「サティスファクション」の頭文字ですが、この「満足」という古い視点や仕組みで私たちが今求められている「感動」を評価しようとしていないでしょうか?
その「感動」さえも今のご時世では「?」と感じてしまうときがあります。
というのも、私たち宿泊業は人の基本的なQOLである「衣・食・住」をホテルという、限定された空間や時間の中で顧客の事前期待を超える感動へと誘う使命を持って就いている数少ない職業だと思っています。
ただ、その感動もさまざまなQOLインフラが充足したことや顧客の感動体験の機会が増えたことで私たち、もてなす側のハードルはどんどんと高くなるばかりです。「そんなサプライズ、あそこでもやってくれた」、などの言葉を耳にすると感動のアクションのつもりがいつの間にか顧客にとっては当たり前になっていることにドキリとします。
そこには産業としての生産性の実情や人員不足等から、仕方がないとはいえ感動や不快さを「時点」で評価する・されるという点に大きな問題が潜んでいます。顧客の感動ポイントを見逃さず、そこに私たちが漏れなく手や心を差し伸べることはそう簡単ではありませんし、当然失敗や見逃しもあります。
私たち、リゾートトラストでは時にサービスを駅伝になぞらえます。自分のサービスの前後には必ず誰かの「襷(たすき)」という思いや感動の種、時には挽回という機会があります。そのつながりこそが「ホテル感動」という小川となり、ついては脈々と流れる人々の「人生感動」=「幸福」という名の人生の大河へとつながっていくものと信じています。
私たちは「感動」こそが成功という考えにとどまらず、その先に流れているであろう人それぞれの「幸福度 “well―being”」を計り感じ、共有することでホテルがさまざまな人にとっての「ご一緒するライフプレイス」、ひいては「マイホテル」となるに違いないものと信じて止みません。
(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 リゾートトラスト株式会社人事企画部企画戦略課 東伸)