ホテル業界2024年採用の新卒求人数が一昨年と比べて倍増している。これはホテル業界が多忙であり、人材不足という課題が深刻化していることを示している。私はこのような状況下で、ホテル企業が学生インターンシップを積極的に受け入れることが重要であると考える。
インターンシップは、学生が実践的な経験を積む機会を提供し、将来のホテル業界への就職意欲を高めることができる重要なカリキュラムである。しかし、インターンシップの成功には、ホテルの受け入れが重要な役割を果たし、ホテル企業が快く学生を迎え入れ、丁寧に指導し、学生が実際の業務に積極的に参加できる環境を整えることが求められる。
少々甘いように感じるかもしれないが、これは、学生に対して好意的な印象を与え、ホテル業界への就職意欲をより高めることで魅力を感じ、人材確保につなげることができる。現場の厳しさを教えなければという考え方もあるが、それは入社してからでよい。受け入れる側も、学生の若いエネルギーを受け入れることで、企業内部の活性化にもつながる。
ある学生のアンケートでは「お客さまとのコミュニケーションが最も印象深かった。指示通りの業務を行うだけでなく、自ら考えてお客さまのニーズに合った接客ができるようになった。お客さまとの会話を通じて、普段なかなか聞くことのできない興味深い話を聞く機会もあり、貴重な経験ができた」というコメントがあった。
しかしながら、現場で働く上で学生の不安要素は多々ある。教育機関としてもスキルや知識を詰め込むだけでなく、社会人としてのビジネスリテラシー教育も重要であることは言うまでもない。そのために教育機関はホテル企業との連携をさらに強化し、総合的な教育プログラムやインターンシップの充実を図ることが重要である。サービスレベルの維持、業務負担の増加など問題はあるが、将来的にホテル業界の人材不足解消に一助となるのではないだろうか?
(日本宿泊産業マネジメント技能協会会員、札幌観光ブライダル・製菓専門学校教務部次長ホテル学科担任 大内智博)