近年ますますその問題が顕在化している少子高齢化。その影響は労働集約型産業と呼ばれる外食産業にも甚大であり、人手不足が深刻化しております。
また、「働き方改革」という言葉に代表されるように、労働環境を見直し長時間労働を減らしていこうという国を挙げての動きも、これに大きく影響を及ぼしております。地域による就労人口の差も広がり、地方のホテル旅館においては、人口の都市流入のため、募集を掛けても人が集まらない深刻な地域もあります。同じ仕事内容を限られた人数で、限られた時間数で行うという難題をこれから乗り越えて行かねばなりません。
私が20年前から顧問先で立ち上げてきたコックレスシステムは、この問題に対する一つのアプローチでもあります。コックレスシステムとは、文字通り「コックがいなくてもできる」という意味であり、技術的に未熟なスタッフでも提供可能な調理システムを構築することを目的としております。
旧態依然とした調理技術を習得した料理人主導の調理場から、食材の調理の一部をアウトソースし、作業を軽減化、効率化します。単純に“出来合いの食材”を使用するのではなく、味をよりおいしくする簡単なひと手間や、記憶に残るような盛り付け、提供方法のノウハウをプラスすることで、今まで以上の価値のある料理を提供することを可能にします。また、これに伴った原価管理やロスの削減などのプラスの効果も得られます。
私が20年前に調理を見ることとなった冠婚葬祭施設では、料理を提供するために100人近いスタッフを抱えておりました。そこに対し、まず一部献立の盛り付けを外部業者へ委託、スチームコンベクションなどの機器の導入などの施策を行い半分の人数で作業を行うことを可能にしました。
このような案件を数社実績としていく中で、このシステムが必ずこれからの外食産業が抱える問題解決の一助となり得ると確信しております。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 株式会社エビスシステムズ代表取締役、髙石幹夫)