明けましておめでとうございます。去年に続き本年も新年のごあいさつを申し上げることになりました。ただ1年前に比べ時間が急速に過ぎていくことに驚くばかりです。
ホテルマネジメント技能検定試験を3月23日に実施します。昨年、試験の検定委員育成研修会を東京、大阪で12回開催しました。検定委員約150名が誕生しました。今月も若干回残っています。加えて検定委員のレベルを均等にするため、水準調整研修会も予定しています。
2日間にわたる研修会、その後の水準調整研修会と、なぜそこまでと声も出てきそうですが、当会の検定試験の特色であるケーススタディーとロールプレイングの実技試験に原因があるのです。サービスのスキルではなくマネジメント能力を問う試験だからです。
従来、ホテルや旅館の評価は「おもてなし」という情緒的な面からであったのを経営的観点から見直そうとするのですから日本のホテル業界にとって重要な問題提起を投げかけていると思います。
オリンピック、パラリンピックを1年後に控え、訪日客4千万人と予測する日本では、サービス現場での人手不足が深刻な問題となっています。それに勝るとも劣らない事柄にマネジメント人材が不足している点があります。サービス現場だけでなく経営者的観点、マーケティングの観点から捉えられる人材の確保が最も急務の課題と言っても過言ではないと思います。
この検定試験が世に浸透し、有資格者として認定された暁には転職者が増えると危惧する人がいます。なるほど。しかし、他社に転職される恐れよりも、経営に関する知識を持つ優秀な人材発掘、獲得になると考えることの方が前向きと言うべきではないでしょうか。
このいわば基準設定である検定試験はホテル業界にとって黒船であると自負しています。後日、そう思い出される日も遠くないと思っています。これ、親のひいき目というのでしょうか。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 ホテル業界スタートアップ支援協議会事務局長 前西武文理大学教授、川名幸夫)