【シニアマイスター経営の知恵34】従業員教育に魔法はない 近藤昭一


 期待する成果を上げることができる従業員を一朝一夕で育てることはもちろんできない。短期的な通り一遍の教育プログラムでは人を育てることはできないことを踏まえて、何から始めるかを決めることが第1歩となる。この第1歩が後に人材育成に大きな効果をもたらしてくれる。

 新人にはまず会社の理念やビジョンを最初にきちんと理解させると同時に、仕事についての基本教育を徹底することから始めることが大切だ。

 入社時導入教育をきちんと行い、定期的にフォローアップを実施することが必要。一定期間、先輩社員をトレーナー役で教育を担当させることや、覚えるべきことをプログラム化して理解させるノートなどを活用することも効果がある。常に自分の近くに相談相手がいるという安心感をもたせることが大事だ。

 私はこのノートを定期的に読んで彼らの成長度や職場環境にどう適応しているのかを把握した。また必要があればアドバイスをし、あるいは直接会って話をしてきた。

 目的は彼らに自分は一人ではないのだということを理解させ、心理的に落ち着かせ社会人としての意識を高め、仕事に対する前向きな姿勢を引き出すことだ。このような努力が大切だと思う。

 会社の上司や先輩がいつも自分に目を向けてくれていると感じる環境づくりも大事。ミスだけを指摘し注意するだけでは、萎縮し積極的な行動を取らない従業員を増やすだけだ。一人一人の人格を尊重し認めたうえで、プラスの行動を常に褒めてあげることは、本人のモチベーションを高める最大の効果をもたらす手段となる。

 「怒る」「叱る」「注意する」「怒鳴る」だけでは注意する側にもされる側にも何の効果ももたらさない。褒められると誰でもうれしい。「褒める」ことと「怒る」ことでお互いが自分のキャリアの成長に役立つものに気付き、良好な人間関係が生まれる。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員 元京王プラザホテル札幌総支配人 東洋学園大学講師、近藤昭一)

 
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