JR北海道が新たな観光列車「赤い星」「青い星」の概要を発表しました。
「赤い星」は、主に釧網線の釧路―知床斜里間で運行し、道内各地を回るクルーズトレインとしても活用されます。「青い星」は主に富良野線で運行し、流氷期間は釧網線の網走―知床斜里間でも運行します。
「赤い星」がラグジュアリークラス(豪華)、「青い星」がプレミアムクラス(上質)という位置づけです。運行開始は2026年度。JR北海道の将来を担う、看板車両としての期待がかかります。
入れ替わる形で、これまで釧網線や富良野線を走ってきた「ノロッコ号」が、25年度をもって運行を終了します。普通・快速で運行されてきた、いわばエコノミークラスの観光列車ですが、それが姿を消して、豪華で上質な観光列車が登場してくるわけです。
こうした観光列車のハイグレード化は、全国的な傾向です。
たとえば、24年に登場したJR九州の「かんぱち・いちろく」や、JR西日本の「はなあかり」も、全車グリーン車仕様です。定期列車では、「サフィール踊り子」もグリーン車しか連結していません。
豪華列車が増えているのは、鉄道会社が観光列車での増収に力を入れていることに加えて、インバウンドを念頭に、価格を引き上げても魅力的な車両にしたほうが、集客しやすいという側面があるようです。
観光列車の草分け的存在といえば五能線の快速「リゾートしらかみ」で、いまでも乗車券と座席指定料金だけで利用できます。しかし、こうしたエコノミーな観光列車は、少数派になりつつあります。
少しずつ増えているのが、定期運用にも用いられる「観光車両」です。たとえば、北海道では、キハ40形という古い車両を改装して「北海道の恵み」という観光車両に仕立てています。座席配置はほとんど変更せず、ふだんは定期運行の普通列車に充当していますが、観光列車としても運行できる多目的車両です。
観光車両が走るのは主にローカル線です。人口減少により、沿線の通学客だけで席が埋まらなくなっているので、普通列車を観光列車兼用にして、少しでも観光客に乗ってもらおうとしているようです。
インバウンドの増加と人口の減少は、観光列車のあり方にも変化を及ぼしている、ということです。
本年もよろしくお願いいたします。
(旅行総合研究所タビリス代表)
(観光経済新聞1月6日号掲載コラム)