
越後湯沢駅から三国峠方面へ、南越後観光バスの湯沢―西武クリスタル線が運行しています。かぐら、田代、苗場と大きなスキー場を経由するので、冬季はスキー・スノボ客の足として利用されています。
1月のある平日、越後湯沢駅から苗場スキー場まで往復しました。この路線に乗るのは十数年ぶりです。そのときはガラガラだったので、新幹線を降りて、のんびりバス停に向かったら、大行列ができていて、のけぞりました。板を抱えたスノーヤーが、次々とバスに乗り込んでいきます。
とても乗り切れず、あえなく積み残し。20分後の急行バスには乗れましたが、こちらも満員に。一般型の低床車両なので、着席定員は多くなく、通路まで客がびっちりです。乗客は、ほぼ全員スキー・スノボ客で、外国人が3分の2くらいを占めていました。
運賃の支払いは現金のみ。一人一人が、運転席横の両替機で紙幣を崩して、運賃箱に入れていきます。「ICカードは使えないの?」といった英語も聞こえましたが、結局、全員現金をきちんと支払って降りた様子。大荷物の客には、運転士が荷物料金100円を請求していましたが、納得して支払っていたように見受けられます。
帰りの夕方便も満席です。バスが混んでいたので、中トビラから降りてしまった客もいましたが、前トビラへ回って、運賃をきちんと支払っていました。
路線バスに乗車する外国人観光客というと、最近はマナーの問題が取り沙汰されることもあります。しかし、この路線は外国人も日本人もマナーがよく、席を詰めたり譲り合ったり、荷物が邪魔にならないように気を使っている人がほとんどでした。
路線バスでスキー場に向かうような人たちなので、日本に慣れているのでしょう。運転手も明るく接客をしていました。旅行者も運転士も、それぞれ今の時代に適応しているような、気持ちのいいバスでした。
一方で、気になったのがハード面です。ローカル路線バスがそのまま走っていますが、できれば座席数の多い車両で、混雑時には増発できないかと思う次第。ICカードやタッチ決済対応も待たれます。
40分も乗って700円という運賃は、観光客向けに少し高くてもいいのでは、と思えます。運賃を値上げして車両をアップグレードし、リゾートアクセスとして整備すれば、より先進的な路線になりそうです。
(旅行総合研究所タビリス代表)
(2025年2月10日号掲載コラム)