
今年は積雪に恵まれて、スキー場の人出が好調のようです。新潟県湯沢町の統計では、1月のスキー場利用者数は前年比2割増となっています。
スキー場へのアクセスを担う上越新幹線も混雑しています。筆者は2月の飛び石連休の中日に、新幹線「たにがわ」号の始発列車で、ガーラ湯沢へ出かけましたが、自由席は通路までスキー・スノボ客でびっちりでした。トイレにも行けないほどの混雑です。
帰りの17時台の「たにがわ」はさらに混雑が激しく、ガーラ湯沢駅を出発する時点で、通路まで人でいっぱいでした。指定席のデッキを自由席客に開放して、ようやく出発しました。
越後湯沢駅では、ホームの客を乗せきれず、積み残しが発生。ホーム上では、次発の「とき」の自由席の乗車口にも、長い列ができていて、乗り切れるかと心配になるほどでした。
1月の平日に訪れたときは、朝6時台の下り列車の自由席に空席がありましたし、17時台の上り列車で積み残しが生じることもありませんでした。ですので、この混雑は、連休中日の特有の状況かもしれません。
とはいえ、ウインターリゾートを楽しみにきた旅行者にとって、すし詰めの車内で立ち続けるのは、不快なことです。インバウンドとおぼしき外国人も少なからずいて、疲れた顔で通路に立っている姿には、同情の念を禁じ得ません。
少し前まで、上越新幹線には2階建て新幹線が走っていて、冬季の大量輸送に貢献していました。しかし、2021年に引退しています。車両の定員が大きく減った形ですが、それを補うような増発はされていません。コロナ禍もありましたし、近年のスキー・スノボ客は漸減傾向なので、JRとしては、輸送力が落ちても運びきれると判断しているのでしょう。
ところが、今季は想定外の積雪量があり、スキー・スノボ客が急増。ピーク時の輸送力が足りなくなってしまっている気配がうかがえます。
鉄道のダイヤは数カ月前に決まっていて、雪や客が増えそうだからといって、すぐに増発できるものではありません。とはいえ、ピーク時にあと1本を出せば、混雑も緩和できそうなだけに、なんとかならないのか、という気もします。せっかく新幹線という、雪に強い交通機関を擁しているのですから、十分な座席を提供して、利用者に快適に移動できるよう配慮してほしいものです。
(旅行総合研究所タビリス代表)
(観光経済新聞2025年2月24日号掲載コラム)