【テツ旅、バス旅 15】日本初の都市型ロープウェイ 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 横浜市に、日本初の都市型ロープウェイ「ヨコハマ・エア・キャビン」が4月22日に開業しました。JR桜木町駅と、みなとみらいの新港地区にある運河パークを結びます。

 本来、ロープウェイは山岳輸送に適したシステムで、都市内交通に活用する動きが広まったのは、比較的最近のこと。12年にロンドンで、テムズ川を渡る都市型ロープウェイが設けられたことで、広く認知されるようになりました。

 ボリビアの首都ラパスでは、14年に都市型ロープウェイが開業して好評を博し、10路線30キロに達する世界最大のネットワークに成長しています。

 都市型ロープウェイは、少量多頻度輸送に適したシステムです。地下鉄やモノレールなどに比べて建設費が安く、支柱などの占有スペースも小さいことから、都市内に導入しやすいことが魅力とされます。半面、適用距離は数キロが限度で、曲線で架設しにくいといった制約もあります。日本では福岡市で検討されたことがありましたが、実現しませんでした。

 ヨコハマ・エア・キャビンの路線図を見ると、海上空間をうまく利用して架設しています。支柱を公共スペースに設置できたこともあり、建設期間は短く、計画公表からわずか3年で開業に至りました。実際に乗ってみると、眼下に汽車道のプロムナードを眺め、遠くにみなとみらいのビル群を仰ぎながら、優雅な空中散歩を味わえました。キャビン内は空調が効き、揺れも少なく快適な乗り心地。5分ほどで終点に着きました。桜木町駅と運河パークは歩いても10分あまりで、ロープウェイがそれほど速い、というわけではありません。ただ、桜木町駅からワールドポーターズや赤レンガ倉庫のある新港地区まで、ほとんど歩かずに着けるので、観光客にとっての利便性は高いでしょう。

 運賃は片道千円と、観光客をターゲットとした価格になっています。運行時間帯は午前10時から午後10時で、通勤、通学といった地域輸送を想定しない様子。したがって、交通機関というよりは、遊園地の遊戯施設に近い位置付けです。実際、ロープウェイの運行会社は、近くの遊園地も運営していて、観覧車とのセット券も発売しています。

 都市型ロープウェイは、神戸港のメリケンパークやハーバーランドでも検討されているそうです。観光的には魅力的な乗り物ですし、全国に広まることを期待したいところです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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