【テツ旅、バス旅 20】「えきねっと」リニューアル 鎌倉 淳


 JR東日本のインターネット予約サイト「えきねっと」が6月26日にリニューアルしました。厳しい意見も多いようですが、東京から仙台、といった新幹線区間のみのeチケットを求める場合、使い勝手は悪くありません。

 eチケットが優先表示されるため、乗継割引や特定都区市内駅制度を知らない人が損をする仕組み、という指摘もあります。

 確かにそうなのですが、これらの制度はJR共通の運賃・料金制度に基づいているため複雑で、一般ユーザーが操作するサイトで優先順位を下げるのはやむを得ません。eチケットは運賃と料金がセットになっているためワンプライスで分かりやすく、優先表示させるのは当然と思います。

 それよりも課題と感じるのは、JR他社線の切符を買うときです。えきねっとはJR東日本の予約システムなので、例えばJR東海が運営する東海道新幹線については、eチケット(スマートEX)を購入できません。東海道新幹線の切符を買うことはできますが、JR共通制度に基づく定価の紙の切符しか買えないのです。

 この場合、まず新幹線列車の特急券を選択して、さらに乗車券を申し込む、という段取りを踏みます。JR共通制度において、特急券と乗車券が分かれていることを知らない人には、分かりにくい仕組みです。

 えきねっとはJR東日本のシステムで、同社は東海道新幹線を運営していない、というのは関係者には常識です。しかし、鉄道に興味のない人は知らないこともあります。そういう人が、「JRのサイト」であるえきねっとで東京から大阪まで購入するとき、eチケットが買えないのは、やはり不親切です。

 鉄道業界の常識が、一般人の非常識、ということはよくあります。えきねっとを含めたJR各社の予約システムで難しいのは、鉄道業界の常識を知らない人と、やたらと詳しい人を両方相手にしなければならないことです。そのため、一般ユーザーには分かりにくく、詳しい人には物足りなくなってしまいます。

 解決策として、アマとセミプロ向けのサイトを別々に作ってはどうでしょうか。アマ向けのサイトはJR全社共通で運用し、eチケット販売に特化すれば一般利用者に親切でしょう。

 JR各社で実現するのが難しいのであれば、インバウンドプラットフォームとして、国の主導で構築できないものでしょうか。

 (旅行総合研究所タビリス代表) 

 
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