【テツ旅、バス旅 4】さよなら回数券 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 回数券は、鉄道の割引きっぷの代表格です。その回数券が少しずつ姿を消しています。11月12日、JR東日本は同社管内の「新幹線回数券」を全廃すると発表しました。「こまち4枚回数券」など新幹線を利用できる他の回数券も廃止。ごく一部を除きJR東日本の新幹線の回数券は2021年6月までに姿を消します。

 回数券廃止の流れは以前からありました。JR東日本では、東北・上越新幹線の「自由席回数券」を18年に全廃。JR東海などは、東海道・山陽新幹線の回数券の設定区間を、19年に大幅に縮小しています。

 在来線では、JR西日本が18年に「昼間特割きっぷ」という激安回数券を廃止しました。

 JRが回数券の廃止を進めるのは、ICカード乗車券の利用を増やし、チケットレスを推進するためです。回数券は紙のきっぷのため、紙代や印刷代に加え、駅窓口の人件費や券売機などの設備費がかかります。ICカードなら、これらのコストを減らせます。また、本来回数券は「頻繁に使うお得意さん」向けの割引ですが、いまや、たまに乗るだけの利用者が金券ショップでばら売りを買うものになってしまった観もあります。JRから見れば、本来得られる収益が金券ショップに流れているわけです。

 回数券のかわりに、チケットレスを使った割引や還元サービスが拡大されています。JR東日本は、「新幹線eチケット」で「えきねっとトクだ値」という割引きっぷを販売していますし、JR東海・西日本では「スマートEX」などで「EX早特」という割引きっぷを用意しています。

 在来線では、JR西日本がイコカで同一運賃区間の利用に応じたポイント還元をしています。JR東日本はスイカで10回乗車すれば、1割分のポイントを還元するという新サービスも開始します。在来線では紙の回数券がまだ残っていますが、IC乗車券でも相応の還元を受けられるなら、切り替える人もいるでしょう。利用者もチケットレスが便利だからです。

 思い返せば、筆者も以前は金券ショップでばら売りの回数券をよく買っていましたが、「スマートEX」や「新幹線eチケット」が登場してからは一度も買っていません。ばら売り回数券のほうが安いこともありますが、チケットレスに慣れるとその便利さに負けてしまうのです。

 そう考えると、全ての回数券が姿を消す日も、そう遠くないかもしれません。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒