【テツ旅、バス旅 60】KAWASAKI BRT 鎌倉 淳


 川崎市内でBRTの運行が3月1日に始まりました。BRTとは「バス高速輸送システム」のことで、速達性と定時性を備えた最新のバスシステムです。

 運行しているのは、川崎鶴見臨港バス。愛称は「KAWASAKI BRT」です。運行区間は川崎駅と臨海部の水江町の間です。臨海工業地帯の通勤需要に対応する路線で、定員114人という輸送力の高い連節バスを投入しました。
 運行時間帯は、平日朝夕のラッシュ時のみで、12分間隔です。時間帯により運行種別が変わり、混雑する方向(朝下り、夕上り)は、駅から臨海部までノンストップの「特快」となります。

 運行区間のほぼ全線に、バス専用・優先レーンを整備し、バス優先の信号システムも使用します。「特快運行」「専用・優先レーン」「優先信号」の三つを組み合わせて速達性を確保し、連節バスで大量輸送をするわけです。バスの能力を最大限生かした大量高速輸送路線と言えるでしょう。

 3月上旬に、実際に乗ってみました。夕方、川崎駅から臨海部まで通常のバスで行き、帰りはBRTを利用します。通常のバスは、途中のバス停に丹念に停まります。市街地なので乗降は頻繁で、道路が空いていても快速運行というわけにはいきません。帰りは、水江町から「BRT特快」に乗ります。連節バスの車内は広く、通勤時間帯でも多くの乗客が着席しています。ノンストップ区間では中央車線を走るのでスピーディー。途中乗降がないため車内が落ち着いていて、より快適に感じられました。

 BRTの当面の運行区間は水江町までですが、延伸計画もあります。現在、京浜運河をまたいで水江町と東扇島をつなぐ道路を建設中で、完成後はBRTの運行区間を拡大し、東扇島に乗り入れる予定です。将来的には、羽田空港までBRTが乗り入れる構想もあるそうです。

 川崎市の臨海部は鉄道空白地帯が広く、工業地帯の通勤需要を考えれば、軌道系交通機関が欲しいところでしょう。しかし、ラッシュ時以外の需要はあまり見込めないので、巨費を投じて地下鉄を掘っても採算があいません。こういうエリアでは、BRTが有効な交通手段になりそうです。

 連節バスで1台あたりの輸送力を高めることは、将来の運転手不足への備えにもなります。川崎市のBRTは、さまざまな課題に対する一つの答えになるかもしれません。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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