【テツ旅、バス旅 67】ゆいレール 鎌倉 淳


 沖縄のゆいレールは、那覇空港から市内へ向かうのに便利な交通機関です。2003年に開業し、いまや那覇市の基幹交通として定着しました。頻繁運行で定時性も高く、便利な乗り物ですが、いつも混んでいるのが難点です。

 久しぶりに沖縄に行った際に利用してみましたが、平日の日中時間帯だというのに、那覇空港駅を出発する時点でほぼ満席。利用者の絶対数がそれほど多いわけではないのですが、2両編成と短いので、すぐに席が埋まってしまうのです。

朝夕のラッシュ時や連休時には、積み残しが出ることもあるそうです。

 車両の増結が待たれるところでしたが、ようやく実現することになりました。開業20周年となる8月10日に、3両編成の車両が運行を開始するのです。乗車定員は、2両165人から3両251人となり、約5割増えます。「5割」というのはなかなかの増加率で、混雑が相当に緩和されるでしょう。

 ただ、3両編成は当面2編成だけの運用に限られます。今後、増備の計画があるものの、決まっているのは9編成まで。全体で23編成ですので、4割にとどまります。いずれ全編成が3両に統一されるとは思いますが、予算の都合もあり、しばらく時間がかかりそうです。

 ゆいレールには延伸計画もあります。過去の調査では、糸満、与那原、西原、琉球大学方面などへの延伸が検討されました。実現すれば、那覇郊外へ向かうのに便利になりそうです。しかし、採算性に難があり、いまのところ事業着手の見通しは立っていません。

 沖縄には鉄道計画もあります。那覇から名護を約1時間で結ぶという壮大な構想です。しかし、こちらも事業費の高さが壁になり、計画は進んでいません。

 沖縄の観光客は急増中で、最近はレンタカー不足が深刻な問題になっています。代わりとなるバスについても、運転手が足りず、年々確保が困難になっています。レンタカーにしろバスにしろ、那覇市街地の道路渋滞は激しく、うんざりするほどです。

 こうした状況のなかで、ゆいレールの車両増備や延伸、鉄道の整備は、公共政策として喫緊の課題といえます。

 物価高騰もあり、費用や採算を気にするのはやむを得ないことですが、沖縄の鉄軌道整備は、観光立国という国策に沿うものでしょう。一刻も早い対応が待たれます。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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