【テツ旅、バス旅 7】「東京ー札幌」高速バスの夢 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 津軽海峡に「第2青函トンネル」を掘ろう、というプロジェクトが浮上しています。いくつか案がありますが、20年11月に日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が提案した「津軽海峡トンネルプロジェクト」が注目を集めています。

 簡単に書くと、現在の青函トンネルと並行する形で、内径15メートルのシールドトンネルを堀り、片側1車線の道路と、単線の線路を通すというもの。内径15メートルは、3車線道路のトンネルとほぼ同じ大きさです。トンネルの上半分が自動車道となり、下半分がJR貨物線と緊急車両用通行路となります。接続部分を含めた総事業費は約1兆円です。

 現在、本州と北海道をつなぐトンネルは青函トンネルだけです。鉄道専用なので、自動車は通れません。新幹線と貨物列車が共用していて、新幹線が速度制限を受けています。こうした課題を一気に解決するのが、この「第2青函トンネル」です。実現すれば、既存の青函トンネルを新幹線専用にして、貨物列車を新トンネルに分離。これまでフェリーでしか移動できなかった自動車は、自力で津軽海峡を通り抜けることができるようになります。

 バスも走れますから、東京と札幌を結ぶ、新たな夢の高速バス路線が誕生するかもしれません。

 現在、東京―青森間の高速バスの所要時間は約10時間。函館―札幌間は約5時間。青森―函館間で約2時間増と仮定すると、東京―札幌間の高速バスは17時間程度になりそうです。東京―福岡間の高速バス「はかた号」の総所要時間が約14時間半なので、それを上回る日本最長時間を走る高速バスとなります。

 第2青函トンネルの全長は約31キロ。世界最長の道路トンネルはノルウェーのラルダールトンネルで約24キロですので、これを上回ります。関越トンネルの約11キロ、首都高中央環状線・山手トンネルの約18キロと比べても、段違いの長さと分かるでしょう。通り抜けるのに30分程度はかかりそうで、運転手は緊張しそうです。ただ、計画では第2青函トンネルは自動運転専用を想定していますので、自力走行はできません。

 この構想は私案段階で、建設には15年ほどかかるとのことですから、完成時期は見通せません。つまり、現時点では夢物語です。それでも、日本最長のバスで、世界最長のトンネルを走り抜ける旅には憧れます。

 新年は夢のある話から始めました。本年もよろしくお願いします。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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