【テツ旅、バス旅 77】東九州新幹線 鎌倉 淳


 東九州新幹線は、福岡市から大分市、宮崎市を経て鹿児島市に至る新幹線計画です。このうち、福岡市から大分市に至る区間について、大分県が新たな調査結果を発表しました。

 候補として、日豊本線ルートと久大本線ルートの二つがあります。日豊ルートは、山陽新幹線の小倉駅東側で分岐し、周防灘エリアを通過後、別府市周辺を通って大分駅に至ります。全長は110キロです。

 久大ルートは、九州新幹線の新鳥栖駅から分岐し、日田・玖珠エリアを通過後、由布市周辺を通って、大分駅に到着します。全長は108キロです。

 どちらも途中2駅を想定します。位置は公表されていませんが、日豊ルートなら中津と別府、久大ルートなら日田と由布院あたりでしょうか。実際に建設が決まれば、日豊ルートなら行橋、久大ルートなら玖珠(豊後森)や別府にも駅設置が検討されそうです。

 報告書で目を引いたのは、日豊ルートの線形です。小倉駅の東で分岐し、博多方面から大分方面に直通できる形となっています。逆方向の新大阪方面から直通運転するには、小倉駅でスイッチバックをする必要が生じます。

 平面交差になるのであれば、ダイヤ上の制約にもなります。したがって、新大阪―大分間の直通列車は、設定されたとしても限られた本数にならざるをえません。本州―大分間の新幹線旅行は、小倉乗り換えが基本になってしまいます。

 今回の調査では、そのデメリットを踏まえても、博多方面への直通を優先させる想定としているわけで、大分県として福岡方面へのアクセスを重視する姿勢を示したといえます。「新幹線とは東京や大阪へ直通することに意義がある」とお考えの方には、ちょっとびっくりする想定です。

 ちなみに、新大阪―大分間の所要時間は、日豊ルートが156分、久大ルートが187分です。久大ルートが30分以上長くなりますが、博多経由で新大阪まで直通できますので、乗り換えがないのはメリットでしょう。ちなみに、博多―大分間は日豊47分、久大46分で、ほぼ同じです。

 概算事業費や想定利用者数は、両ルートで大差ありません。

 旅行者の視点で見れば、久大ルートは大分の温泉地帯を横断し、由布院と別府をつなぐ形にもできるので便利そう。長崎から新鳥栖乗り換えで大分の温泉に向かうこともでき、九州の観光周遊に役立ちそうです。

 (旅行総合研究所タビリス代表) 

 
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