【テツ旅、バス旅 82】上瀬谷「次世代バス」 鎌倉 淳


 横浜市が、相鉄線瀬谷駅を中心にした新たな交通ネットワークを構築する方針を明らかにしました。瀬谷駅から南北方向にバスのネットワークを整備します。

 目玉となるのは、瀬谷駅と旧米軍上瀬谷通信施設跡地の間に、バス専用道を整備すること。瀬谷駅の北側地下に専用のバスターミナルを設け、地下トンネルの専用道で上瀬谷ターミナルとを結びます。上瀬谷にはバスの待機場や営業所を地上に設けます。

 専用道では、連節バスが最大3台で隊列走行します。将来的には自動運転技術の導入も目指すそうです。横浜市ではこれを「次世代バス」と名付け、2030年代前半の供用開始を目指します。

 瀬谷―上瀬谷間には、新交通システムの計画もありました。27年に予定されている国際園芸博覧会(花博)に間に合うよう建設が検討され、20年には環境アセスメントも開始されました。しかし、花博閉幕後の跡地利用が不透明だったこともあり、運行事業者となるよう要請された横浜シーサイドラインが断り、行き詰まっています。

 今回の計画は、新交通システム向けに設計した設備や空間を流用して、バス専用道とするように見受けられます。将来的に、バスで運びきれないほどの需要が生じたり、自動運転などがうまくいかなかった場合に、新交通システムへ改造できる余地を残しているのかもしれません。

 需要が伸びなければバスのまま運行してもいいですし、専用道を一般道にすることも可能でしょう。先行きが不透明な状況で、柔軟性を持たせた計画にしていることがうかがえます。

 新たな交通ネットワークでは、瀬谷―上瀬谷間の専用道を中心に、一般道にもバスが乗り入れて、北は横浜線の長津田方面、南は相鉄いずみ野線のいずみ中央方面まで、ネットワークを広く展開します。コア区間で連節バスを隊列走行させて輸送力と定時性を確保しつつ、周辺地域の利便性も高める狙いです。

 新交通システムで同規模のネットワークを構築するには数十年かかるでしょうから、広大な路線網を短期に構築できる点で、バスは新交通システムより優れています。とはいえ、一般道では道路渋滞を避けられず、普通のバスと変わらないという課題もあります。

 なお、この計画は花博には間に合いません。花博のアクセスは、周辺各駅からシャトルバスの運行が計画されています。

 (旅行総合研究所タビリス代表) 

 
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