【テツ旅、バス旅 85】新幹線の個室 鎌倉 淳


 先日、山陽新幹線で「ひかりレールスター」に乗りました。少し古いですが、ゆったりとした座席配置が特徴の車両です。

 ひかりレールスターは4人用の個室を備えていて、ファミリーには有り難い存在です。新幹線車両では現存する唯一の個室としても知られています。ただ、残念ながら、いまは限られた列車でのみ営業するにとどまっています。

 筆者が乗ったのは、その貴重な営業列車です。予約はできなかったのですが、ドアの開いている個室をのぞいてみると快適そう。こういう個室があれば、子連れでも新幹線が使いやすくなるのに、と思わずにいられませんでした。

 と思った矢先、東海道新幹線で個室が復活するというニュースが飛び込んできました。JR東海が、東海道新幹線N700Sの一部車両に、グリーン車より上級な設備の個室を設けると発表したのです。

 個室は1編成につき2室を設けます。レッグレスト付きのリクライニングシートや専用Wi―Fiを備えるほか、照明や空調、車内放送の音量などを個別で調整できるようにします。

 設置するのは、N700Sのデッキ。詳細は明らかにされていませんが、喫煙ルームだったスペースなどを使うようです。

 既存車両を改造するわけではなく、これから製造する車両に導入するようです。JR東海では2024年度から26年度までの3年間で17編成のN700S導入を予定していますので、これらに個室を設ける形になるのでしょう。編成数は限られますので、東京―博多間で走る「のぞみ」を中心に運用されそうです。

 個室の復活はうれしい限り。ただ、現在報じられている限りでは、1人用個室のようです。VIPには歓迎されそうですが、子連れには使えなさそう。

 東海道新幹線はビジネス客が多く、子連れには肩身が狭いのが難点です。ひかりレールスターのような4人用個室もできれば、ファミリーにも使いやすいでしょうし、外国人旅行者のグループにも歓迎されます。

 東海道・山陽新幹線には、かつて2階建て車両が走っていて、グリーン個室を備えていました。1人用から4人用とバリエーションに富み、さまざまな需要に対応していました。

 東海道新幹線は日本を代表する鉄道路線で、幅広い客層が利用します。次世代車両では、多様な需要に対応する座席バリエーションを望みたいところです。

(旅行総合研究所タビリス代表)

 
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