JR東日本が新たなチケットレスサービスとして、「えきねっとQチケ」を開始します。いわゆるQRコード乗車券です。
同社のチケットレスサービスは、Suicaなど交通系ICカードが中心でした。えきねっとQチケは、ICカードを使わないので、エリア外でもチケットレス乗車ができるのが特徴です。
利用する場合は、アプリをインストールします。次に「えきねっと」で列車を検索し、きっぷを購入します。購入が完了すると、乗車用QRコードが発行されます。それをスマホに表示し、自動改札機にかざして通過します。
自動改札機がない駅では、「セルフチェックイン・チェックアウト」を利用できます。アプリ上で、利用者自身が利用開始、終了の操作をするしくみです。これにより、無人駅でも利用できます。
購入できるきっぷは、乗車券と特急券。大人の休日倶楽部割引、株主優待割引も利用できます。新幹線eチケットと異なり、乗車券と特急券の区間が異なっていても購入できます。
サービス開始は2025年10月。まずは東北エリアからスタートします。エリアは順次拡大していく予定で、26年度末には、JR東日本エリア全域に拡大する予定です。
QRチケットは、飛行機などではすでに一般的になっていますし、ヨーロッパでは鉄道チケットとしてすでに普及しています。それがJRでも広く使われるようになる、というだけの話ともいえます。
しかし、きっぷの受け取りが必要なく、交通系ICカードのエリアの壁もなく、無人駅でも利用できるというのは、日本の鉄道では画期的です。JR東日本全域に拡大すれば、とても便利になるでしょう。
気になるのは、アプリのみでの利用で、ウェブブラウザで利用できない点でしょうか。事情があるのだとは思いますが、外国人客など幅広い旅行者を利用対象にするなら、アプリなしで利用できるようにしてほしいところです。
また、このサービスが将来的に、JR東日本エリア以外でも利用できるようになるのかも注目です。旅客の利便性を考えれば、東海道・山陽新幹線を含む、JR全線で使えたほうがいいでしょう。
QR乗車券は、JR他社を含む鉄道各社で広まる勢いを見せています。より使いやすい形で進歩することを願いたいところです。
(旅行総合研究所タビリス代表)