【テツ旅、バス旅6】ダブルデッカーの新展開 旅行総合研究所タビリス代表 鎌倉 淳


 最近、ダブルデッカー(2階建て)の高速路線バスが増えています。口火を切ったのは、京成バス。18年に東京駅と成田空港を結ぶ「有楽町シャトル」に導入しました。その後もJR系のバス会社を中心に導入が相次ぎ、東名阪のハイウェイバスなどで姿をよく見るようになりました。11月には富士五湖方面にもお目見えしています。

 少し前まで、日本のダブルデッカー高速バスは絶滅の危機にひんしていました。10年に三菱ふそうが「エアロキング」の製造を終了したからです。

 「エアロキング」は国産最後のダブルデッカーバスでした。しかし、「平成22年排出ガス規制」に対応するのが困難として製造を終了。使用していたバス会社は、その更新に苦慮することになりました。

 海外メーカーのダブルデッカーはありますが、車体寸法が大きく、日本の車両制限に合いません。そのため、「エアロキング」の製造終了後、高速バス各社はダブルデッカーの更新を断念し、ハイデッカーのバスを導入しはじめました。

 立ち上がったのは、はとバスです。観光バス会社としてダブルデッカーが不可欠と考え、ベルギーのバンホール社、スウェーデンのスカニア社と、日本向けのダブルデッカーバスを共同開発。バンホールが車体をつくり、スカニアがエンジンを供給。5年かけて開発し、2016年に初輸入されました。これが「アストロメガ」です。日本の車両制限に収まり、部品供給などバックアップ体制も整えられたことから、ダブルデッカーバスをあきらめきれなかった高速路線バス会社が目を向けました。

 前出の京成バス、JRバスをはじめ、近年、高速路線バスで導入されているダブルデッカー車は、ほぼ全て「アストロメガ」です。

 ダブルデッカー高速バスの特徴は、高い輸送力です。事業者にとっては、高需要の路線で大勢の旅客を乗せることができます。それは1席あたりの運賃を安くすることにつながりますので、利用者にもメリットがあります。2階から眺める景色は格別ですし、1階はバリアフリー対応に適していて、車椅子で利用しやすくなっています。

 国産メーカーが撤退してしまった領域を海外メーカーが埋めたことには、一抹の寂しさを覚えます。それでも、日本に2階建ての高速バスが再び広まっているのは、旅行者としてはうれしい限りです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)  

 
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