矢野経済研究所は9月30日、アジア4カ国の日系企業現地法人の駐在員に聞いた新型コロナウイルスが企業経営に与える影響調査の結果を発表した。
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、新型コロナウイルスが企業経営に与える影響や収束後の経営環境の変化、事業の方向性を予測すべく、アジア4カ国の日系企業現地法人の駐在員にアンケート調査を実施し、各々の国の社会や産業構造に及ぼす変化を明らかにしました。
1.調査結果概要
2020年7月時点で、アジア4カ国(中国、タイ、インドネシア、ベトナム)の日系企業現地法人の駐在員282名に、新型コロナウイルスの予想収束時期と通期業績に与える影響について尋ねた。収束時期が6月末までという回答では、通期売上高の減少幅は計画比で10%にとどまると言う結果になった。収束時期がずれ込むことで、当然ながら下振れの比率は高まり、2021年1月以降という回答では、減少幅は計画比で34%まで拡大する見通しとなった。
【平均】~予想収束時期とその場合の通期業績への影響見通し~
一方で、コロナ禍であっても通期売上高は計画比で100%を越えるという予測をする人も存在しており、予想収束時期が6月末までで25.3%(14人)、7~9月末内で7.9%(3人)、10~12月末内で4.3%(3人)、2021年1月以降でも2.5%(3人)の回答があった。
【分布】~予想収束時期とその場合の通期業績への影響見通し~
2.注目トピック~新型コロナウイルスの各国への影響
国別に新型コロナウイルス感染症の影響をみると、中国の回復が最も早く、政府トップダウンによる徹底した移動制限や外出制限措置が奏功しており、ASEANではベトナムが中国同様に迅速な政府による対応策によって早期に感染拡大を抑制、次いでタイが続いている。
一方で、インドネシアは経済活動の持続を前提とした感染抑制策を実施しており、その結果、強制力のない要請レベルでの新型コロナウイルス対策に甘んじた結果、未だ収束の目途がたっておらず、この4カ国の中では、最も回復が遅れている。
各国の日系企業現地法人は、外出自粛や行動制限による現地経済活動の停滞、それに伴う現地企業からの受注減少、同時に国外のサプライチェーン停止等による生産活動の停滞、需要先の経済活動制限による外需の喪失などの影響を受けており、内需、外需ともに一挙に失われた状況であることがわかる調査結果となっている。