【データ】北海道の旅行宿泊業界におけるリサーチ(2022年12月版)


 リアラ(本社:札幌市、代表取締役:伊東義史)は17日、「北海道の旅行宿泊業界におけるリサーチ(2022年12月版)」を発表した。

■調査概要
観光庁などの政府機関が発表している宿泊統計は正確な一方で、約2ヶ月程の遅れがあり、客室稼働以外の課題を掴みにくいという課題が有りました。

株式会社リアラでは、より迅速に観光施策へと繋げていくことを目的に、北海道内の宿泊施設に対してサンプリング調査を実施。定量的なデータからは見えてこない課題についてもヒアリングし公開致します。

■統計について
・調査期間:2022年12月1日(木)~28日(水)
・調査方法:電話法(無作為に抽出した対象に対し、電話にて調査)
・調査対象:所在地が北海道にある宿泊施設で、10部屋以上ある施設(※1,214件)
・回答数:249件
・ヒヤリング項目
予約が埋まっている割合、いつまで埋まっているか、集客・コスト・リソースに課題が生じているか、予約媒体の割合、その他の課題が生じていないか等。

宿泊リサーチデータ宿泊リサーチデータ

■「集客」は改善傾向
現段階で集客に困っていると回答した施設は約32%と、2021~2022年状況よりも改善されていることが伺えた。地域差はあるものの、全国旅行割の影響で非常に忙しいと回答する施設が多く、約61%の施設がほぼ満室か70~90%の稼働率で推移しており、特にリゾートホテルやシティホテルに予約が集中している状況が見られた。

一方で、働率が69%以下で低水準の施設は全体の約36%。主にビジネスホテルや、函館など直近でインバウンドの来訪が多かった地域、上川郡や稚内など札幌から離れた地域といった特徴が見られた。また、ヒヤリング上からもインバウンド(訪日外国人旅行客)に焦点を当てていた地域や施設は、入国の際の水際対策緩和がまだ充分でないことを理由に客入りの回復が鈍く困っているとの意見が挙げられた。

■あらゆる「コスト」が上昇し利益が圧迫
最も課題として挙げられたのはコスト面で、エネルギー安全保障や円安を理由と、歯ブラシなどのアメニティから暖房光熱費まであらゆる物の価格が急激に上昇していることが負担となっていると回答。一部の施設では価格変更を行ったという声もあったが、現状では国内旅行客が主要な顧客であり価格変化への反応も厳しいため、十分な価格転嫁が行えていない状況が見られた。

■「人手」は足りていないが、人材採用が難航
約半数の施設からは人的リソース(人手)が足りていないという声が挙げられた。特に函館や小樽などの地域では人手が足りないという声が多く、コロナ禍で人材整理を行った結果、人材募集を掛けても十分な採用が行えないという回答が得られた。直近では、観光業以外でも求人募集が増えており、飲食業を始めとした他業種との間でアルバイトなどの短時間労働者の奪い合いが生じ、国内需要の回復に対して人手が足りていない状況が見えてきた。

■今後の観光業界の動きについて
多くの施設で挙げられたコスト上昇の傾向はしばらく継続するものと考えられます。
北海道電力は昨年12月22日に電気料金の見直しを発表し、4月1日より約20%前後の値上げが行われることが分かりました。電気料金の値上げは全国で行われていますが、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした世界的な燃料価格や卸電力市場価格の高騰が原因であり、現時点では戦争終結に向けた動きは見込めません。
輸入についてはやや改善傾向で、日銀の金融政策決定会合で長期金利の許容変動幅が拡大されたことを受けて急速に円高へと向かい、1ドル132円前後(1月11日時点)で推移しています。
各施設のコスト削減は限界を迎えつつあり、いかに宿泊料金に反映することが出来るかがポイントとなります。

また、人手不足に対しては採用以外の形でリソース削減することが求められてきています。バックオフィス業務の効率化やBPO(外注)、セルフチェックインシステムの導入などによるフロント業務の効率化を行っている施設が増えてきました。一方で客室を閉じる、高時給でのアルバイト採用、無理な清掃時間の削減を行っている施設は、収益が圧迫されたり、口コミ評価が低下するなどの悪循環に陥っているパターンも見受けられました。

今年は訪日外国人旅行客(インバウンド)の回復が見込まれる一方、国内客を対象とした割引施策は減っていくと考えられます。環境の変化が激しい状況が続きますが、常に情報を集め、何に注力すべきなのか、お客様に対する価値提供の水準はどこかを社内で整理することが重要だと考えられます。


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