【データ】国内旅行に関する消費者意向アンケート調査 J.D. パワージャパン調べ


 J.D. パワージャパンは5月29日、国内旅行に関する消費者意向アンケート調査の結果を発表した。 

顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社であるJ.D. パワージャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は2022年12月に、旅行に関するアンケート調査を実施しました。調査結果の中から、コロナ前後の国内旅行の形態や旅に求めるものについて紹介します。

~ J.D. パワー コロナ前後の国内旅行の形態や旅に求めるものに関するアンケート調査概要 ~
■調査方法:インターネット調査 ■調査期間:2022年12月 ■対象者:20~69歳の計5,400名

宿泊施設:コロナ前の利用実態 & 今後の利用に興味がある宿泊施設

コロナ前に利用した宿泊施設、1位「旅館」、2位「ビジネスホテル」、3位「リゾートホテル」

新型コロナウイルス流行前の国内旅行で利用していた宿泊施設タイプについて尋ねました。
最も利用が多かったのが旅館(53%)、次いでビジネスホテル(44%)、リゾートホテル(40%)、シティホテル(36%) という結果になりました。

今後の利用に興味ありの宿泊施設、旅館が1位で根強い人気。「リゾートホテル」「ラグジュアリーホテル」「グランピング」がコロナ前の利用実態を大きく上回る

では、今後の国内旅行ではどのような宿泊施設の利用に興味があるでしょうか。最も支持を得たのは「旅館」(60%)で、コロナウイルス流行前の利用実態から+7ptとなっています。
コロナ前の利用実態と今後の興味を比較すると、「リゾートホテル」(+16pt)と「ラグジュリーホテル」(+15pt)が大幅にコロナ前の利用実態を上回っています。そして注目すべきは「グランピング」です。コロナ流行前の利用実態(3%)から今後の興味(17%)の差は+14ptとなっており、注目の高さがうかがえる結果となりました。
旅行の自粛モードがようやく解禁された今、ワンランク上の非日常を味わえる施設への興味や関心が高まっている傾向と言えそうです。

コロナ禍で流行を後押しか、「グランピング」が興味を集める

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

世代別に、コロナ前の利用実態と今後の興味を比較しました。
「リゾートホテル」や「ラグジュアリーホテル」は、どの世代でも利用実態より今後の興味が大きく上回っています。
「グランピング」も特徴的で、コロナ前の旅行実態はいずれの世代でもわずかでしたが、今後の興味では特に若年層やミドル層で+18pt、プレシニア層でも+12ptと大幅な上昇がみられます。同じくアウトドアの「キャンプ」を見ると、コロナ前の利用実態と今後の興味では、そこまで大きな差は見られません。アウトドアとラグジュアリーのどちらの雰囲気も味わえる、自然に囲まれながらも不自由なく快適に過ごせる、といったイメージのあるグランピングが人気を集めていることがうかがえます。加えて、コロナ禍で感染リスクを避けたいといったニーズがあったことも後押ししていると考えられます。

「リゾートホテル」「旅館」、リピート意向も新規需要も高い

コロナ前の利用経験の有無別に、各宿泊施設に対する今後の興味を見てみました。
コロナ前に利用したことのある場合では、「リゾートホテル」と「旅館」が今後の利用への興味が高く、共に85%でした。
次いで「ラグジュアリーホテル」が78%となっています。これらの施設は、リピート意向が非常に高いということがわかります。
一方、コロナ前に利用したことのない場合はどうでしょうか。この場合でも「リゾートホテル」と「旅館」が上位を占めており、これまで利用していなかったという人からも、泊まってみたいという興味が示されているようです。
また、「シティホテル」は「ラグジュアリーホテル」とほぼ同じ割合になっており、プライベート旅行での今後の利用に対する関心の高さがうかがえます。
「グランピング」は、コロナ前の利用実態では全体で利用率が最も低い施設でしたが、まだ利用経験のない人に限定した今後の利用に興味がある割合は16%で、今回聴取した11施設のうちで中位に位置します。同じくアウトドアの「キャンプ場」は半分の8%ですので、アウトドア初心者や未経験者にとってハードルが低いと思われるグランピングが、より関心が高いということがわかりました。

旅の同行者:コロナ前に一緒に旅行していた人 & 今後一緒に旅行したい人

今後の国内旅行の同行者、若年層では「家族や親族と一緒」、プレシニア層では「一人旅」がコロナ前と比べ増加傾向

国内旅行をするときの同行者について尋ねました。
「コロナ前の旅行で誰と旅行していたか」、及び「今後の旅行で誰と旅行するか」の結果を比較すると、順位に変わりはなく、「家族や親族と一緒」が最も多く、次いで「友人と一緒」「一人で」という結果でした。

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

世代別に見ると、「家族・親戚と一緒」は若年層でコロナ前の旅行実態より今後の意向がより上回っているのがわかります。若い世代の人たちにおいては、友人や恋人との旅行より、家族・親族との旅行に目が向いていることがうかがえる結果となりました。
また、「一人で」はプレシニア層で今後の意向がより高まっています。中高年の人たちの「そろそろ一人ででも旅行をしたい」という気持ちの高まりがうかがえます。

国内旅行に求めるもの:コロナ前・今後の比較

今後の国内旅行に求めるもの、「絶景」がコロナ前と比べ最も増加。「癒し」「自然」「非日常」が続く

国内旅行に何を求めるかを尋ねました。「コロナ前の旅行で求めていたこと」、「今後の旅行で求めること」共に、上位を占めたのは「温泉」「観光」「飲食」でした。
コロナ前の旅行実態と比較すると、最も意向が高まっているのは「絶景」で+11ptでした。2014年に流行語大賞にもノミネートされた「絶景」ブームは未だ途絶えることなく、コロナ禍でより絶景への関心が高まっている様子がうかがえます。
次いで、今後の意向が高まっているのは、「癒し」(+9pt)、「自然」、「非日常」(+8pt)でした。長く続いたコロナ禍で、絶景や自然に触れ、旅ならでの非日常を楽しみ、癒されたい、そのようなニーズがより高まっていることが分かります。

*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳

世代別に見ると、「絶景」と「癒し」はどの世代でも今後の意向が高まっていますが、特にプレシニア層、シニア層でより高まっているという特徴が見られます。
また、若年層やミドル層ではこれに加え「体験」や「学び」への意向も、シニア層以上に比べて高くなっています。
年齢の低い層では、旅先やその土地ならではのプラスαのコンテンツを求め、年齢の高い層では、よりリラクゼーションやヒーリング効果を求める傾向があるようです。

まとめ
コロナ禍で大幅に落ち込んだ旅行需要ですが、現在は、コロナ前の水準まで回復しつつあります。
約3年間のコロナ禍で私たちの生活や価値観には様々な変化がありました。旅行に関しても、旅のスタイルや旅に求めることなど、人々の旅行に対する考え方に変化の兆しが見られ、新たなトレンドが生まれつつあるようです。
この調査では、旅館やリゾートホテル、ラグジュアリーホテル、グランピングなどへの興味がコロナ前の利用実態と比べ増えており、特にグランピングは、感染リスクを抑えつつ、自然の中で非日常を体験できる施設として注目されていることが分かりました。また、観光をメインとしていた旅から、絶景、癒し、自然、非日常なども求めるスタイルにシフトしていること、一人旅や家族旅行といったニーズが増えている傾向も見られました。
旅行支援施策終了後も旅行需要の回復ペースが衰えることがないよう、旅行業界や宿泊施設においては、国内旅行の新たなニーズやトレンドに柔軟に応えた魅力的なプランの提案や情報発信を期待したいところです。

 

 


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