【データ】夏ボーナス調査


 お金の情報サイト「まねーぶ」は16日、2020年度の夏ボーナス調査の結果を発表した。

株式会社GV(本社:東京都港区、代表取締役社長:肥田木和弘)が運営する、お金の情報サイト「まねーぶ」は、FP事務所MoneySmith代表 吉野裕一氏監修のもと、全国20代~60代正社員800人を対象に2020年度の夏ボーナス調査を実施しました。

 

■調査背景

みずほ総合研究所の発表によると、2020年夏の民間企業の一人当たりボーナス支給額は前年比9.2%減と予測されました。その背景には、新型コロナウイルス感染症対策として営業自粛や休業が続き、業績低迷や雇用悪化が深刻化していることが挙げられます。

お金の情報サイト「まねーぶ」では、全国正社員800人を対象に2020年の夏ボーナス調査を行い、支給額と昨対比から企業が受けたコロナショックの影響を明らかにし、今後の景気回復の兆しと経済再開に向けた課題についてFP吉野裕一氏に考察していただきました。

 

■調査回答者の属性(n=800)

性別:男性54.8%/女性45.3%

年代:20代26.4%/30代39.8%/40代23.4%/50代8.0%/60代2.5%

役職:一般社員・職員74.6%/主任・係長14.9%/課長・次長8.0%/

部長・本部長2.0%/代表取締役社長0.5%

業種:建設業3.0%/製造業17.4%/電気・ガス・水道業1.5%/交通・運輸業3.0%/

情報通信業11.9%/卸売・小売業7.0%/金融・保険業5.0%/不動産業3.5%/

飲食業2.0%/宿泊業0.5%/生活関連サービス業11.4%/

教育・学習支援業3.5%/医療・福祉17.4%/公務・団体6.0%/その他7.0%

勤続年数:新卒2.5%/1年以上~3年未満21.9%/3年以上~5年未満15.4%/

5年以上~7年未満15.9%/7年以上~10年未満12.0%/

10年以上~15年未満13.9%/15年以上~20年未満8.5%/

20年以上~30年未満7.5%/30年以上2.5%

 

■調査サマリー

1.4人に1人が夏ボーナス「支給なし」、理由の6割が「会社の業績が悪い(コロナの影響含む)」

2.夏ボーナス支給額の平均値39.5万円、中央値30万円(支給対象者のみ)

3.平均支給額の昨対比は14.7%減、4割以上が減額(昨年支給対象者のみ)

4.夏ボーナスの使い道は「貯金」が昨年比5.4ポイント上昇、一方「遊興費」は昨年比3.7ポイント減

5.6割以上が夏ボーナスの支給額に「納得できる」、理由は「コロナ禍で不安定な中でも支給されたから」

6.7割が今年の冬ボーナスに「期待できない」、理由は「コロナ不況はこれから本格化すると思うから」

 

調査1:2020年度 夏ボーナスの支給有無

●4人に1人が夏ボーナス「支給なし」、理由の6割が「会社の業績が悪い(コロナの影響含む)」

全国正社員800人(業種・企業規模問わず)に、2020年度の夏ボーナスの支給有無について調査したところ、「支給あり」が73.1%(585人)であり、対して「支給なし」が26.9%(215人)と、4人に1人が支給されていないという結果でした。

支給なしの理由として、「会社の業績が悪いため(コロナによる経営悪化含む)」が66.5%で突出し、次いで「企業規模が小さいため」14.9%、「固定給・年俸制のため」13.0%と続きました。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

夏のボーナスを支給しない企業もある中で、「支給あり」と回答した人が73.1%と4人に3人の方が支給されていますが、厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査の令和元年夏季賞与の支給状況では事業所規模が5人以上の調査産業計が67.9%ですので、本調査では夏のボーナス支給があった人は多いようです。

ただ、支給無しの理由として「会社の業績が悪いため(コロナによる経営悪化含む)」が66%以上あり、外出自粛や緊急事態宣言で業績が悪化している企業が多くあることが分かります。

 

 

調査2:2020年度 夏ボーナスの支給額

●夏ボーナス支給額の平均値39.5万円、中央値30万円(支給対象者のみ)

2020年度の夏ボーナスの支給額について、支給対象者のみ(585人)の平均値は39.5万円、中央値は30万円という結果でした。支給額の内訳では、「10万円以上~20万円未満」が15.9%と最も多く、50万円未満が半数以上を占めています。また、支給なしを含めた全対象者(800人)の平均値は28.9万円でした。

 

本調査結果での最高支給額は200万円(情報通信業/勤続年数20年以上~30年未満)、最低支給額は1.1万円(製造業/勤続年数3年以上~5年未満)でした。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

(一社)日本経済団体連合会が公表している2020年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(東証一部上場、従業員500人以上の大企業)を見ると総平均は約92.6万円であり、本調査の全業種平均と比較してもコロナ禍中の支給額は多いです。また、減少率では大企業はマイナス6%ですが、本調査の対象企業では冒頭で記述されている通り昨年よりマイナス14.7%と減少幅が大きく、大企業より中小企業のほうが今回のコロナの影響が大きいことが分かります。

 

 

調査3:昨年(2019年度)夏ボーナスとの比較

●平均支給額の昨対比は14.7%減、4割以上が減額(昨年支給対象者のみ)

2019年度の夏ボーナスの支給額について、昨年支給対象者のみ(681人)の平均値は39.1万円、中央値は32.5万円であり、昨対比は85.3%(14.7%減)という結果でした。

<※昨対比の2020年平均値は、昨年支給対象者681人の回答値(0円含む)にて算出>

 

また、本年支給額との増減内訳では、「増額」24.7%、「同額」30.5%、「減額」44.8%であり、最大増額は40万円(情報通信業)、最大減額は79万円(製造業)であることが明らかになりました。

本調査結果での昨年最高支給額は215万円(製造業/勤続年数30年以上)、最低支給額は2万円(公務・団体職員/勤続年数1年以上~3年未満)でした。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

昨年と比べると業績が悪化している企業が多くあるように感じますが、調査結果で見ると「増額」と「同額」を併せて55%の企業が前年と変わらない、または前年以上のボーナスを支給されていることが見えます。

特に最大増額となった情報通信業では、在宅勤務(リモートワーク)の普及によりインターネットの利用者が増えた影響もあり、業績が良くなっていることが分かります。逆に昨年の最大減額となった製造業は、コロナの影響を受けて業績を大きく落としていることも見えてきます。

 

 

調査4:2020年夏ボーナスの使い道と昨対比

●夏ボーナスの使い道は「貯金」が昨年比5.4ポイント上昇、一方「遊興費」は昨年比3.7ポイント減

2020年夏ボーナスの使い道では、「貯金」が53.5%と突出し、昨年の48.1%から5.4ポイント上昇しています。

続いて、「ローン返済」、「投資・金融商品(貯金除く)」、「保険・税金支払い」といった固定費や投資が微増傾向にあり、対して、「遊興費(外食・レジャー費等)」、「被服費(服飾・宝飾品等)」といった趣味・娯楽は微減傾向となっています。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

昨年に話題となった“老後2000万円問題”で将来への備えを考える方が多くなっていることもあり、貯金が増えていると考えられます。

投資信託協会が公表している投資信託概況では、今回のコロナ禍でも投資信託への流入超が続いているようで、資産運用の長期投資意識も高まっていると感じます。

逆に趣味や娯楽へお金を回す人が減っているのは、“老後2000万円問題”や“人生100年時代”と言われる現代、少しでも将来に備えようと節約志向の人が増えているのではないでしょうか。

 

 

調査5:2020年の夏ボーナス支給額に対する評価

●6割以上が夏ボーナスの支給額に「納得できる」、理由は「コロナ禍で不安定な中でも支給されたから」

2020年の夏ボーナス支給額に対する評価については、「納得できる」35.4%、「やや納得できる」30.4%を合わせて65.8%が納得と回答し、その理由として、「コロナ禍で不安定な中でも供給されたから」が378人と突出し、次いで「昨年の支給額よりも高いから」76人、「査定内容・基準が明確だから」60人と続き、コロナショックによる経済悪化で業績にも影響がある中、支給されるだけでありがたいという人が多く見受けられます。

 

一方で、納得できないと回答した3割強の理由として、「自身の努力・成果に見合ってないから」が92人、次いで「昨年の支給額よりも低いから」76人と続き、自身の活躍とは裏腹に業績に左右される賞与に不満を感じている人もいます。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

「納得できる」「やや納得できる」と賞与の額に対して、納得されている方が6割を超えているのは、緊急事態宣言下で、企業業績が悪化していてもボーナスを支給されただけでも良かったということが分かります。

しかし、ボーナスの支給額が多くなっている情報通信業の方などは、コロナ禍でも仕事が多くなり、「自身の努力・成果に見合ってないから」と思われた方も多かったのかも分かりません。

 

 

調査6:2020年冬ボーナスに対する期待度

●7割が今年の冬ボーナスに「期待できない」、理由は「コロナ不況はこれから本格化すると思うから」

2020年の冬ボーナスに対する期待度については、「期待できない」31.4%、「あまり期待できない」38.8%を合わせて70.1%が期待薄と回答し、その理由として、「コロナ不況はこれから本格化すると思うから」が279人と最も多く、次いで「会社業績が不振だから」259人と続き、業績への影響はこれから顕著になると考える人が多く、それが冬ボーナスの期待度に直結しています。

 

一方で、期待できると回答した3割の理由として、「会社業績が好調だから」が92人、次いで「経済活動が本格的に再開すると思うから」68人と続き、今後の景気回復に期待を寄せる人もいます。

 

▼FP吉野裕一氏の考察

多くの方が感じているように、未だ感染が収束していないこともあり経済回復のペースは緩やかになると思われます。冬のボーナスは本調査以上の悪い結果になることも考えられます。

ただ、情報通信業など在宅勤務(リモートワーク)などによる働き方が変化する中で、景気回復は進んでいくと思われ、新たに伸びる業種のボーナス支給額は増えてきそうです。

 

■調査概要

調査方法:インターネット調査

調査期間:2020年6月30日~2020年7月10日

調査対象:全国20代~60代正社員800人

調査監修:FP事務所MoneySmith代表 吉野裕一

※調査結果は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100とはなりません


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