コンサルタントのリョケン(本社・静岡県熱海市)はこのほど、全国の旅館を対象にネット予約、検索対策などの状況調査を行った。直近1年間の宿泊予約経路は「ネットエージェント」(OTA)の比率が35.8%と、「直接予約」や「大手旅行社」を抑えてトップになった。自社ホームページ(HP)で集客を増やすための取り組みで効果が大きいものは「モバイルに対応したHP」に多くが回答した。
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直近1年間の宿泊予約経路の構成比率(年間宿泊客数=100%)は、OTAが前回の2017年調査(29.2%)に続いてトップになった。OTAは13年に17.3%、15年に20.7%と、増加の一途をたどっている。
2位は宿への直接予約の20.3%。3位は大手旅行社の20.2%だった。4位以下は、自社HPの12.6%、中小旅行社の11.1%。
宿への直接予約は右肩下がりの傾向。13年調査で33.8%、15年調査で29.3%と最も多かったが、17年に23.0%と、OTAの数字を下回った。
大手旅行社は13年に21.2%、15年に24.1%と、直接予約に続く2位につけていたが、17年に22.2%と、OTAに逆転された。
このほか自社HPは横ばい傾向、中小旅行社は減少傾向となっている。
旅館の規模別で見ると、大規模(100室以上)は大手旅行社が26.7%と最も多く、次にOTAの25.0%。中規模(31~99室)はOTAが32.8%、大手旅行社が22.5%と、順位が逆転する。小規模(30室以下)はOTAが45.0%、大手旅行社が14.1%と、その差が大きく広がる。
自社HPでの予約は、大規模が11.2%、中規模が9.2%、小規模が17.0%。小規模旅館での割合が高くなっている。
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集客を高めるために自社HPで実施している対策は(複数回答)、「HPの内容更新」が75.0%と最も多く、以下「掲載プラン」(70.5%)、「SNSによる情報発信」(68.2%)、「モバイルに対応したHP」(61.4%)が続く。「比較的容易にできる対策を行って集客に結び付けている」(リョケン)。
対策のうち、「重点度が高いもの」「効果が大きいもの」は、ともに「モバイル―」が1位で、それぞれ73.1%、72.0%が回答した。「スマートフォンやタブレットがコミュニケーションの主要な手段と認識されている」(同)。