【データ】旅館経営アンケート 観光経済新聞調べ


2019年の業績”落ち込む”が増加

エージェント手数料は「高い」

 観光経済新聞社は、日本旅館協会の会員などの旅館に経営状況を聞くアンケート調査を2019年も実施した。19年の業績(見込み)について「大きく伸びる」「やや伸びる」「横ばい」「やや落ち込む」「大きく落ち込む」の5段階から選択式で回答してもらったところ、「やや落ち込む」が28.7%、「大きく落ち込む」が8.0%と前年よりも3.7ポイント、4.6ポイント、それぞれ増加。旅館業績が落ち込んでいることが判明した。

 「大きく伸びる」は4.0%と1.3ポイント増加したが、「やや伸びる」は26.0%と4.4ポイント減少。二つの回答の合計は30.0%と前年より3.1ポイント減少しており、こちらの数字からも旅館業績の振るわない状況が見て取れる。「横ばい」は33.3%と5.2ポイント減少した。

 20年の業績見込みは、「大きく伸びる」が2.0%、「やや伸びる」が32.7%で、両回答を合わせた“伸びる組”が 19年と比べると4.7ポイント増。「やや落ち込む」が10.9%、「大きく落ち込む」が2.0%で、“落ち込む組”は23.8ポイントの大幅減。旅館の業績は、20年には大きく回復すると期待される。

 宿泊単価の今後の見通しは「上昇」が6.0%、「やや上昇」が44.3%で、上昇と見る両回答の合計が50.3%と半数を占めた。「やや下降」と「下降」の回答は少ない。

 経営の課題についても自由記入形式で聞いた。ダントツに多いのが「人材」の問題で、「人手不足」を中心に「人材育成」や「人材教育」「社員の定着率の向上」などの回答が挙がった。2番目に多いのが「施設の老朽化」「施設の改修」といった回答で、その次が「売り上げ増加」や「生産性向上」だった。

 客室を販売するチャネルについて旅行会社、OTA、直販の割合も質問した。

 旅行会社経由は「31~40%」が26.0%と最多で、2番目が23.6%の「21~30%」となっており、21~40%の範囲に集中した。OTA経由も25.2%の「21~30%」と23.6%の「31~40%」の回答が多く、旅行会社経由と同様に21~40%の範囲に集中している。全体的にこれまでは旅行会社経由の割合がOTA経由の割合よりも高かったが、OTA経由が旅行会社経由にほぼ同等程度まで迫ってきている。

 直販は「21~30%」が32.3%で、唯一、30%を超えて最多となった。

 これらのことから推測すると、旅行会社経由36%、OTA経由34%、直販30%ぐらいが客室販売チャネルの割合の平均的なところと言えそうだ。

 旅行会社の手数料率をズバリ聞いた。今回も大手の多くが基本線とする「15%」が48.7%と最も多かった。2番目が23.1の「16%」で、「15%」と「16%」以外は10%未満と少なかった。

 その旅行会社の手数料について旅館・ホテルはどう見ているのか。「高い」と「適正」の二択で聞くと、「高い」が76.5%とこれまで同様に圧倒的多数。「適正」は23.5%しかなかった。

 一方、OTAの手数料率は「10%」が50.4%と全体の半数を超えて最も多かった。

 旅行会社と比べて約5%低いOTAの手数料だが、こちらも「高い」が67.2%と大多数だ。

外国人客「5%未満」が最多

 宿泊人員に占める外国人客の割合を聞くと「5%未満」が53.8%と最多。以下、「10%以上~30%未満」19.6%、「5%以上~10%未満」18.9%、「30%以上」5.6%だった。前年と比べると傾向に大きな変化はない。

 一方、外国人は労働者として期待されている。19年4月から新たな外国人就労の在留資格「特定技能」も創設された。今回は「外国人を社員、パート・アルバイトとして採用しているか」を三択で聞いた。最も多かったのが「採用している」で68.5%あった。次に「今後、検討する」23.3%で、「採用する予定はない」は8.2%だった。採用する理由は「人材不足のため」が大多数だが、「外国人対応」を評価する声も少なくなかった。

調査の概要

 この調査は、往復アンケートはがきを2019年11月に郵送し、日本旅館協会の会員などの旅館・ホテルに(1)19年の業績見込み(2)20年の業績見込み(3)宿泊単価の見通し(4)経営の課題(5)旅行会社、OTA、直販の各客室販売比率(6)旅行会社とOTAの実質的な手数料率(企画参画料金、ポイント負担・ネット広告などを含む)(7)その手数料は高いか適正か(8)宿泊人員に占める外国人客の割合(9)外国人を社員、パート・アルバイトとして採用しているか―などについて聞いた。

 回答数は156軒。客室規模別では「10~30室」が27軒、「31~50室」が30軒、「51~75室」が36軒、「76~100室」が22軒、「101室以上」が41軒だった。

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規模別 旅館経営アンケート

観光経済新聞社は、「旅館経営アンケート」を実施した=17面参照。ここでは客室の規模別に「2019年の業績(見込み)」「今後の宿泊単価の見通し」「宿泊人員に占める外国人観光客の割合」「外国人を社員、パート・アルバイトとして採用しているか」のデータを紹介する。

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