ロコタビは8月28日、「海外在住日本人の実態調査」の結果を発表した。
新型コロナウイルスの影響は状況に変化は見えつつも、未だ収束が見えない状況が続いています。現在の海外在住日本人の状況把握の為、ロコタビとして「第二回:海外在住日本人の実態調査」を行いました。先日、その調査内容と、そこから見えた結果に包括的なレポート( https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000024321.html )を公開しました。
今回は、本調査で壊滅的な状況が浮き彫りになった観光業従事者の方々の情報データと、彼らから多数届いたリアルな声をこちらの記事で多く公開します。
- 「海外在住日本人の実態調査」実施概要
●調査期間:2020年8月15日-2020年8月19日
●回答数:1,943件
●回答国数:80カ国
アイルランド、アメリカ、アラブ首長国連邦、アルジェリア、アルゼンチン、イギリス、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、エクアドル、エジプト、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オマーン、オランダ、カタール、カナダ、カリブ海、カンボジア、ケニア、コスタリカ、コロンビア、ジャマイカ、ジョージア(旧グルジア)、シンガポール、スイス、スウェーデン、スコットランド、スペイン、スリランカ、ソサエティ諸島、タイ、チェコ、チリ、デンマーク、ドイツ、トルコ、ナイジェリア、ニューカレドニア、ニュージーランド、ネパール、ノルウェー、パキスタン、パナマ、パラオ、パラグアイ、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、ブラジル、フランス、ブルガリア、ブルンジ、ベトナム、ペルー、ベルギー、ポーランド、ボリビア、ポルトガル、ホンジュラス、マリアナ諸島、マレーシア、ミャンマー、メキシコ、モルディブ、モロッコ、モンゴル、ヨルダン、ラオス、リトアニア、ルーマニア、ロシア、韓国、香港・マカオ、台湾、中国、南アフリカ、北アイルランド
●調査内容
・基本情報(在住国/都市, 性別, 年代, 職種, 業種)
・仕事への影響(選択回答)
・収入への影響(選択回答)
・今後の滞在に不安を感じていますか(選択回答)
・新型コロナの感染予防のためにしていること(選択回答)←new
・2ヶ月以内に以下のことがありましたか?(選択回答)←new
・失業補償などの支援状況(選択回答)
・現在お困りのことや懸念点など(自由記述)
- 観光業従事者、43%が「仕事を失った」49%「収入減」
現在の海外在住日本人のなかで観光業に従事している人のデータをみると、「仕事を失った」が43.0%、「収入減少」が49%と危機的な状況が増していることがわかった。
●海外在住日本人の声
「5月より減給されたが、インドのビザ基準年収に達さない分の補填について、会社に取り組んでもらえない。それにより来年以降ビザが更新できなくなる為、日本への本帰国を考えているが、帰国する飛行機も不定期で高額の臨時便しか無い。」(インド在住、20代女性、会社員)
「観光業に従事しているためこのまま観光客が来ないと仕事を失い日本に帰国せざるをえなくなる。知人の中には職を失い日本への帰国を決めた方もいる。今は耐えるしかないかもしれないが、先が見えないので不安もある。国際結婚をして今いる国に住んでいるため、この国に骨を埋める覚悟をして住んでいたつもりだったが、今回のことで最終的に頼ることができるのは母国である日本だけだと痛感した。」(カンボジア在住、30代男性、会社員)
「日本からの観光のお客様には、日本国の事情もありますから、今年中にはアメリカに来ていただけないと思いますし、コロナの特効薬などができない限り、世界の状態は変わりません。NYは今では他の州よりもはるかに感染者が少なくそういった面では安全になりつつありますが、観光客は来ていません。私たちのような観光業に携わるものには、来年になっても仕事が戻らないようです。求人も見ていますが、企業では従業員を大幅にカットしてますし、レストラン等も潰れているところが多い上、外でしか食事ができないようになっているため、ウエイトレスなどのパ-トも大幅カットなど、アメリカでの雇用状態は大変悪くなっています。この中で新たに職を探すのは至難の技です。3月16日のロックダウンまでは私は大変忙しく、今年もほとんど予定が詰まっていましたが、今は全て0で、今後どうしたらいいか検討がつきません。」(アメリカ・ニュージャージー州在住、50代女性、フリーランス)
「在住都市は観光都市、観光客がいなくなり、民泊を経営しているが収入がなくなった。ここの住民の多くが仕事を失い、収入を絶たれ、犯罪が増加している。これ以上この状態が長引くと貯金がなくなり、生活できなくなることが懸念される。」(メキシコ在住、50代女性、自営業)
「年老いた母がいるため年2回帰国をしているが、現在日本への入国に隔離対応があるのでまだ状況を見ている状態。(日本の対応が変わらなくても年内一時帰国検討中。ただし日本の感染者がこれ以上増加していくと、イギリスに戻った際の隔離条件が発せられる可能性も懸念)また万が一帰国しても帰国者へのヘイトがとても気になる。パートナー(アイルランド人)が日本の永住権を所有しているにも関わらず入国拒否となっている事に、日本の外国人差別、及び対応の国際的レベルの低さを強く感じている。(イギリス在住、50代男性、自営業)
「私の仕事、観光業の復活はワクチンが出来ても以前の様になるには時間がかかると思うので、他を見つけているが、LA等大都会からのオファーに躊躇してしまう。感染が怖い。理由は55歳という年齢と喫煙者でもあり、シングルマザーでもあるからだ。現在は休業補償で問題無く生活が成り立っているが、年末迄には仕事に付かないと生活が成り立たない。でも今後生活の場を変える勇気が湧いてこない。私がいなくなったら息子は頼る親戚もいない。それにこの年で何を、何処で?と考えると鬱になるので毎日現実逃避。早くワクチンが出来て欲しい。」(アメリカ・カリフォルニア州在住、50代女性、会社員)
- 給付金頼ることも難しい状況つづく
長期化する影響下で、壊滅的な状況が続く観光業従事者にとって補助金が受給できる見込みがない現実も見えてきた。一方で、アジア、中米・カリブ海、南米に比べてヨーロッパは比較的補助金を得られている状況も垣間見ることができた。
※本グラフは、観光業従事者のみの収集データになります。全体の状況はこちらで把握いただけます。→https://note.com/traveloco/n/n4bdc27b4b3d0
●海外在住日本人の声
「世帯全員が観光業を主たる収入源としていたため、今後の見通しが全く立てられない。」(イタリア在住、40代女性、フリーランス)
「現地政府からの補償は最低限の生活には十分ですが、やはり以前の収入レベルには及びません。この状況が長引いた場合の、業務形態の転換や発展についてアイデアが出ずに懸念しています。」(フランス在住、40代女性、フリーランス)
「政府は海外在住の日本人にも金銭的支援をしてほしい。」(フィンランド在住、70代男性、自営業)
「支援がオーストラリアからなく、現実的に生活がもう限界に近いです。しかし学校がある為日本に帰るわけにもいかず、滞在しているが、仕事がない為とてもストレスをかかえている」(オーストラリア在住、20代女性、学生)
「日本政府からの給付金があったらどんなに助かる事か。かなり食費を切りつめている。」(ネパール在住、50代女性、会社役員)