【データ】第2回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」 電通調べ


 電通は12日、第2回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」 の結果を発表した。

●「カーボンニュートラル」自体の認知は約4割にとどまる一方、日本の「2030年度の温室効果ガス46%削減目標」の認知は5割超。

 

●カーボンニュートラルに関心が高い個人投資家は、投資判断において、企業の情報開示・PRを前提として、開発から販売に至るまでサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視。

 

 

株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)は、電通グループ横断でサステナビリティに関するプロジェクトを推進する「サステナビリティ推進オフィス」および「電通Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1,400人を対象とし、6月9~10日に第2回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」(以下「本調査」)を実施しました。

 

本調査では、国内外で重要なテーマである「脱炭素」と「カーボンニュートラル」に対する国内の生活者の意識や、経済産業省が発表した2050年カーボンニュートラルに伴う「グリーン成長戦略」の14の重点分野に関する前回(2021年4月)調査結果との比較分析、および同テーマに関する直近の政府発表内容や今後の予定についての認知を問う新規追加質問による分析を行いました。加えて、今回は、カーボンニュートラルの実現に取り組む企業への投資意向を持つ個人投資家が、投資判断を行なう上で重視するポイントについても分析しました。

本調査は今後も定期的に実施し、公表していきます。

 

 

【主なファインディングス】

①「カーボンニュートラル」の認知率は43%にとどまる一方、その取り組みの必要性は74%の生活者が感じており、第1回から大きな変化は見られない。

②「2030年度に温室効果ガスを46%削減することを目指すことを政府が表明したこと」の認知率は53%と高かったものの、「4月の気候変動サミットにおいて「脱炭素」が議題となったこと」の認知率は40%、それ以外の政府発表内容や出来事は約3割にとどまった。

③「脱炭素」と「カーボンニュートラル」から想起しやすく、取り組みに期待する業種(自動車、電気機器、エネルギー、運輸等)と、そうでない業種の存在。

④カーボンニュートラルに関心が高い個人投資家は、投資判断において、企業の情報開示・PRを前提として、開発・製造・輸送・販売にわたるサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視。

 

※認知(率)は、「内容まで理解している」「言葉だけは知っている」と回答した生活者合計数の全体数に対する割合です。

※本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。

 

 

【各ファインディングスの詳細】

 

①「カーボンニュートラル」の認知率は43%にとどまる一方、その取り組みの必要性は74%の生活者が感じており、第1回から大きな変化は見られない。

 

1、「カーボンニュートラル」の認知について

・「カーボンニュートラル」の「内容まで知っている」または「内容までは知らないが、言葉だけは知っている」生活者の合計は42.8%であったが、「内容まで含めて知っている」のは11.8%で、引き続き内容理解の浸透は課題といえる。【図表1】

 

2、「カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組みの必要性に関する意識

・「カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組み必要性は、73.8%の生活者が感じており、前回調査からスコアに大きな変化は見られない。【図表2】

 

【図表1】

Q. 「カーボンニュートラル」という言葉をどの程度ご存じですか。

 

【図表2】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて、取り組んでいくことは必要だと思いますか。

 

 

②「2030年度に温室効果ガスを46%削減することを目指すことを政府が表明したこと」の認知率は53%と高かったものの、「4月の気候変動サミットにおいて「脱炭素」が議題となったこと」の認知率は40%、それ以外の政府発表内容や出来事は約3割にとどまった。

 

1、直近の政府発表内容や今後の予定についての新規追加質問に関する認知

・「2030年度温室効果ガスを46%削減することを目指すことを政府が表明したこと」の認知は53%に上る一方、「4月の気候変動サミットにおいて「脱炭素」が議題となったこと」は40%、その他の政策情報の認知は約3割にとどまっている。【図表3】

 

2、「カーボンニュートラル」の実現に向けた各取り組み認知

・「パリ協定」に関する内容は認知されている傾向がみられるが、国が「グリーン成長戦略」を発表したことの認知は約4割にとどまり、14の重点分野が設定されたことの認知は更に低くなる。第1回から大きな変化は無いといえる。【図表3】

・14の重点分野のうち、「自動車の脱炭素化・蓄電池技術の実現」「資源循環型社会の実現」の取り組みに対してはやや認知されているが、総じて、現状では14の重点分野の取り組みに関する認知は低い傾向は前回調査から変わらない。【図表4】

 

【図表3】

Q. 下記項目の内容について、どの程度ご存じでしたか。

 

【図表4】

Q. 日本は、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて下記のような14の重点分野で取り組みを行っていこうとしていますが、あなたはどの程度ご存じですか。

 

 

③「脱炭素」と「カーボンニュートラル」から想起しやすく、取り組みに期待する業種(自動車、電気機器、エネルギー、運輸等)と、そうでない業種の存在。

 

1、「脱炭素」と「カーボンニュートラル」に取り組んでいる/今後取り組んでほしいと思う企業

・取り組んでいることをよく知られていて、今後への期待も高い業種には、「自動車」の他、「電気機器」「エネルギー(電力・石油)」「運輸(鉄道・空運・陸運)」等が挙がる。一方、「通信」「食品」「小売業」はいずれも低い傾向にある。【図表5】

 

2、「脱炭素」と「カーボンニュートラル」 の取り組みの結果、どのコストを許容できるか

・脱炭素、カーボンニュートラルの取り組みの結果、追加でのコストが許容できるのは「電気代」 「ガス代」「水道代」などライフラインの割合が高く、カーボンニュートラルから想起されやすいと考えられる。一方「医療費」「保険代」「通信費」等の許容度は低く、カーボンニュートラルから想起されにくいと考えられる。【図表6】

 

 

【図表5】

Q.「脱炭素」「カーボンニュートラル」に取り組んでいることを知っている企業(助成想起)、今後積極的に取り組んでほしいと思う企業はどの企業ですか。(実際の回答は企業名だが、下記表は日経業種分類に基づく「業種」で分類して表示)

 

 

 

【図表6】

Q. 2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、国・自治体や企業・団体等が様々な取り組みを行っていく上で、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、月いくらくらいまでであれば、上乗せされることが許容できますか。それぞれについて、あてはまるものをお知らせください。

 

 

④カーボンニュートラルに関心が高い個人投資家は、投資判断において、企業の情報開示・PRを前提として、開発・製造・輸送・販売にわたるサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視。

 

1、投資意向者の各取り組みへの認知と賛同意識

・投資意向がある人の方が、意向がない人よりも各取り組みに対する認知が高く、中でも、「自動車の脱炭素化・蓄電池技術の実現」認知率は81%に上る。【図表7】

・また、その取り組みに対する賛同意識も高く、ほとんどの項目で8割を超える。【図表8】

 

2、個人投資家が「脱炭素」と「カーボンニュートラル」に取り組む企業への投資を検討する際に重視するポイント

・カーボンニュートラルの実現に取り組んでいる個人投資家は、「カーボンニュートラルに関する情報を開示している」「カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの広報を実施している」「環境課題に対する活動の費用を公表している」など情報開示・PRを前提として、「商品の製造過程において、CO2排出量の削減に取り組んでいる」「カーボンニュートラルの実現に向けた商品を発売販売している」「商品の運搬過程において、CO2排出量の削減に取り組んでいる」「環境に配慮した企業と協業・取引を行っている」など、開発・製造・輸送・販売にわたるサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視している。【図表9】

 

【図表7】

Q. 日本は、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて下記のような取り組みを行っていこうとしていますが、あなたはどの程度ご存じですか。

 

【図表8】

Q. カーボンニュートラル、脱炭素社会実現のために、下記のことを取り組んでいくことに対して、あなたはどの程度賛同できますか。それぞれについてあてはまるものをお知らせください。)

 

【図表9】(個人投資家を対象とした質問)

Q. あなたが、企業がカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでいるかどうかを判断する際に、重視することとして、あてはまるものをすべてお知らせください。

 

 

<カーボンニュートラル調査に関する概要>

・目的:日本におけるカーボンニュートラルに関する「認知・理解」や「興味・関心」などについての現状を把握した上で、今後の浸透策を検討していくため。

・対象エリア:日本全国

・対象者条件:10~70代の男女

・サンプル数:性年代各100名ずつ、計1,400名

・調査手法:インターネット調査

・調査期間:2021年6月9日~6月10日

・調査機関:電通マクロミルインサイト

 


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