【データ】Reluxトラベルラボ、「インバウンド旅行動向調査」発表


 Reluxトラベルラボは12日、「インバウンド旅行動向調査」の結果を発表した。

ホテル・旅館の宿泊予約アプリ「Relux(リラックス)」(https://rlx.jp)を運営する株式会社Loco Partners(本社:東京都港区、代表取締役:篠塚孝哉)は、カスタマーの旅行動向や人気の宿泊施設の傾向を調査する機関「Reluxトラベルラボ」より、「2019年 インバウンド旅行動向調査」を実施しました。また、2019年インバウンド旅行者の動向と昨今の新型コロナウイルスの影響を踏まえ、今後のインバウンド旅行者の動向について、産学を跨ぐ有識者である、立教大学観光研究所の池尾 健特任研究員のコメントも発表いたします。

【2019年 インバウンド旅行動向調査結果 概要】
2020年1月に日本政府観光局(JNTO)が発表した「2019年の訪日外客数」は、前年比2.2%増の3,188万2,000人で、統計を取り始めた1964年以降最多となり、韓国を除く19市場で過去最高を記録しています。東アジアにおいては、地方都市への航空路線の新規就航や増便などが、増加した背景の一つとして挙げられています。[※]
また、Reluxは2015年4月にグローバル事業を開始し、独自のマーケティングで東アジアを中心に支持を拡大しており、2019年はグローバル会員数が55万人を超えるサービスへと成長しています。そこでこの度、インバウンド旅行者の行動の変化などを明らかにするため、2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)のReluxを利用した海外カスタマーを対象に、2019年の旅行動向を調査しました。
※令和2年1月17日 日本政府観光局「訪日外客数」 :https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/200117_monthly.pdf

■中国・英語圏は定番の観光地、韓国・台湾・香港は九州が上位にランクイン!人気エリアは国ごとに異なる結果に。
人気エリアランキングは「北海道」がトップとなりました。また、中国・英語圏のカスタマーは神奈川や静岡など都心からのアクセスも良く、国内の人気温泉地が集まる定番の観光地が上位にランクインしていますが、韓国・台湾・香港のカスタマーは、大分や福岡など九州が上位にランクインしており、国ごとに異なる結果となりました。韓国・台湾・香港は九州に近く、LCCの新規就航や増便など交通機関が拡充したことで気軽に行けるようになったことや、個人旅行で地方に足を運ぶカスタマーも増加していることも背景にあると考えられます。

■人気上昇都道府県ランキング第1位は「北海道」!地方が上位にランクインし、観光ニーズも多様化している。
人気上昇都道府県ランキングは「北海道」が第1位となりました。自然を活かしたレジャー体験や豊富なご当地グルメなどもあり人気を集めています。また、ビザ発給要件の緩和やアジア・北海道間の国際線の新たな就航、観光客受け入れ体制の強化なども背景にあると考えられます。ランキングでは北海道のほか、山梨や和歌山など地方が上位にランクインしており、インバウンド旅行者の観光ニーズも多様化していることも窺えます。

■宿泊予算は、英語圏の「81,375円」がトップに。インバウンド旅行者は国内旅行者より13,591円高い!
エリア別の宿泊予算は、英語圏が81,375円と最も高くなりました。また、国内旅行者とインバウンド旅行者の宿泊予算を比較したところ、インバウンド旅行者の方が13,591円高い結果となっています。

■2019年は1人旅、3人以上のグループ旅行が増加。様々なスタイルで旅を楽しむ傾向に。
2019年は「2人」が約60%と、最も多くなりました。また、2018年と比較し、「1人」「3人」「4人以上」のシェア率が増加しています。1人旅や友達同士のグループ旅行など、様々なスタイルで旅を楽しむカスタマーが増加してることが窺えます。

■宿泊施設内で食事を楽しむカスタマーが半数以上いる。
2018年・2019年ともに、「2食付き」「朝食のみ」「夕食のみ」が約60%となりました。半数以上のカスタマーが、宿泊施設内で食事を楽しんでいることがわかります。

■豊かな自然に囲まれ、日本ならではの温泉を満喫できる宿泊施設がランクイン!
「ふふ 河口湖」や「旅亭 花ゆら」、「箱根・芦ノ湖 はなをり」など、山や森など豊かな自然に囲まれ、日本ならではの温泉を満喫できる宿泊施設が上位にランクインしました。また、上位の宿泊施設の周辺には、河口湖や登別地獄谷、芦ノ湖などがあり、自然を楽しむ観光スポットやアクティビティがあるエリアも人気を集めていると考えられます。

【池尾 健氏 調査コメント】

■プロフィール
ホテル運営実務に携わった後、New York Universityにてホテル投資・ファイナンスの修士号取得。その後、ゴールドマン・サックス、フォートレス・インベストメント・グループにて、ホスピタリティ投資プラットフォームの構築を主導、株式会社マイステイズ・ホテル・マネジメントの立ち上げをはじめ、数々の事業再生、企業投資案件に携わる。
2017年7月より、観光立国を担う人材投資、関連する教育・研究機能の再定義をテーマに起業。現在は大学における教育・研究活動の傍ら、産官学連携を通じた一部上場企業のオープンイノベーション、新規事業プロジェクトのマネジメントを始め、スタートアップ・中小企業の経営・投資アドバイザリー業務などに携わっている。

Flat Collaboration合同会社:Founder / CEO (flat-collaboration.jp)
一般社団法人Intellectual Innovations:代表理事
立教大学:特任研究員
京都大学:非常勤講師 / プログラムコーディネーター
Hospitality Asset Managers Association Japan:Board Director for Education

■コメント
前述のとおり、2019年の訪日外客数は過去最高を更新する結果となりました。一方で、2019年12月に中国武漢で発見された新型コロナウイルスの蔓延により、2020年の旅行需要の動向は不透明なものとなっています。観光分野における国際機関である国連世界観光機関(UNWTO)が2020年1月に発表した「World Tourism Barometer」では、日本を含むアジアパシフィック地域において、海外渡航者数は2019年比で5〜6%増加するとの予測でしたが、これらには新型コロナウイルスの影響は加味されておらず、その影響を反映した修正見通しについては今後注視が必要です。
新型コロナウイルスの終息タイミングについては様々な予測が立てられていますが、世界最大の宿泊施設データサービスプロバイダーであるSTR社が2020年2月17日に発表した記事では、2003年のSARSの事例を比較対象として、封じ込め後の宿泊パフォーマンスの回復までの期間は当初想定よりも短く、中国本土では3ヶ月程度であり、今回も同様の傾向を辿るのではないか、と結んでいます。終息宣言が出るタイミングについて、現段階ではなかなか予測が難しいですが、封じ込め後の回復予測については一つの目安になるのではないでしょうか。

このように、短期的には不透明な状況が一定程度継続すると思われますが、中長期的には中心的な商圏となるアジアパシフィック地域における中間所得者数の増加は確実であり、連動した旅行需要も大きな成長が見込まれます。富裕層向けの体験旅行商品などの企画・販売をグローバルに手掛けるVirtuoso社は、当該年における富裕層旅行の調査結果を「LUXE REPORT」として発表しています。2020年度版の富裕層旅行のトレンドとしては、前年に続き、知的好奇心を満たすこと、その国の食や文化に触れること、家族や同じ価値観を持つ友人などとの旅を通じた団結など、が挙げられています。またTop Emerging DestinationsやTop Global Destinationsでは日本がそれぞれ4位にランクしており、これら富裕層の嗜好は今後成長が見込まれる中間所得層の先行指標として、日本の成長可能性を裏付けるものと考えられます。

このように日本を囲むアジアパシフィック地域は旅行商圏として、人口増加・経済成長を裏付けとした中間所得者数の増加、結果としての旅行需要は大きく成長が見込まれます。あわせて富裕層の拡大も、旅行ニーズ・嗜好の多様化・高度化を推し進めることになり、Loco Partnersの「2019年 インバウンド旅行動向調査」の人気観光地や宿泊施設、旅のスタイルなどの結果においてもその傾向が始まる兆しが見て取れます。

言わなくても理解できる、感じ取ることができる「暗黙知」による高文脈コミュニケーション(high-context communication)が土壌としてある日本はそれ故に独特な文化を育んできましたが、こと観光促進という観点では「暗黙知の言語化」によるコンテンツ造成および適正な流通が必須であり、Loco Partnersの「インバウンド旅行動向調査」はその裏付けとなる実績データの開示という観点において大変意義深いものですし、今後ともその取り組みが継続され、結果として有益なデータが蓄積・共有されていかれるよう期待しています。

<参考文献>
■UNWTO:“World Tourism Barometer Volume 18・Issue 1・January 2020
https://webunwto.s3.eu-west-1.amazonaws.com/s3fs-public/2020-01/UNWTO_Barom20_01_January_excerpt_0.pdf
■STR:“China hotel performance recovered quickly following SARS” 17 February 2020
https://str.com/press-release/china-hotel-performance-recovered-quickly-following-sars
■VIRTUOSO:THE 2020 VIRTUOSO LUXE REPORT
http://istra.hr/downloadf/virtuoso_luxe_report.pdf

【2019年 インバウンド旅行動向調査 結果 詳細】
■人気エリアランキング
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までのインバウンド旅行者の予約件数をもとにした、人気エリアランキングです。Reluxが紹介する47都道府県から、上位5都道府県を選出しました。

※インバウンドは、中国、韓国、台湾・香港、英語圏のReluxカスタマー

■人気上昇都道府県ランキング
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までの予約件数をもとに前年と比較し算出した、人気上昇都道府県ランキングです。Reluxが紹介する47都道府県から、上位5都道府県を選出しました。

■エリア別宿泊予算
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までの2名以上の予約金額をもとにした、エリア別の宿泊予算です。

※インバウンドは、中国、韓国、台湾・香港、英語圏のReluxカスタマー

■グループサイズシェア率
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までと2018年1月1日(月)から2018年12月31日(月)までのインバウンド旅行者の予約件数をもとにした、グループサイズごとのシェア率です。
※期間中の予約数を100%としてシェアを表示。1人・2人・3人・4人以上は子供を含まない。

■食事タイプ
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までと2018年1月1日(月)から2018年12月31日(月)までのインバウンド旅行者の予約件数をもとにした、食事タイプのシェア率です。
※期間中の予約数を100%としてシェアを表示。

■人気宿ランキング
2019年1月1日(火)から2019年12月31日(火)までのインバウンド旅行者の売上をもとにした、人気宿ランキングです。Reluxに掲載している約3,200軒の宿泊施設を対象とし、上位5施設を選出しました。

・集計対象:Reluxの海外カスタマー
・宿泊期間:2019年12月1日(日)〜2020年2月29日(土)
・集計日:2020年2月17日(月)


関連キーワード
 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒