旅館で「乙女温泉」
日本人の多くは温泉好きだが、入りたくても入れない人たちがいる。乳がん治療による傷痕や髪の脱毛などで悩む人たちは周りの視線が気になり、入浴にちゅうちょする。温泉入浴のハードルは決して低くはない。そんな女性たちを勇気づける活動や入浴着の開発が進む。誰もが気兼ねなく温泉に入れることを目指して…。
国立がん研究センターの統計によると、2018年の1年間に新たに乳がんと診断された女性は約9万人。05年に約5万人だった新規の患者数は食生活の変化やがん検診での発見率向上などもあって、年々増えているという。
乳がんで乳房を摘出してからは大浴場に入れず、貸し切りの風呂以外は旅館などの温泉を利用しなくなったという女性は少なくない。手術痕を気にせず温泉を楽しみたいという声は多く、それを実現しようと努めているのが兵庫県を拠点に活動する乳がん治療経験者らのコミュニティ「Reborn・R(リボンアール)」だ。「乙女温泉」という女性限定のイベントを開催している。
4月25日に実施された、伊香保温泉(群馬県渋川市)の旅館、塚越屋七兵衛でのイベントには乳がん治療経験者ら17人が参加。一緒に入浴をしたり、闘病経験を語り合うなどし、交流を深めた。
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