【中学校教育旅行特集】修学旅行レポート 鶴岡市立鶴岡第五中学校 


日本旅行広報室でキャッチフレーズについて評価してもらう

鶴岡市立鶴岡第五中学校(東京方面2泊3日 20年2月19~21日実施)

外からの目通し学ぶ 地元の魅力と発信力

 

 鶴岡市立鶴岡第五中学校(山形県鶴岡市、山口幸一学校長)は、大山中、加茂中、西郷中の3校が合併して1997年に創立した、比較的若い学校だ。同校の学区域は、酒造りの里・大山はじめ、湯野浜温泉や加茂水族館といった全国的に知られる観光スポットのほか、メロンの有名産地やラムサール条約に登録された湿地があるなど多様な魅力にあふれる。その一方で過疎化の進行といった課題もあることから、同校は地元の魅力発信や地域を担う人材の育成などを目的に、地域活性化をテーマにした総合学習に積極的に取り組んでいる。

 同校の修学旅行は創立以来、日本の文化や技術の最先端に触れ、学ぶという目的の下、東京都内での班別研修などを中心に行ってきたが、昨年度初めて、学区域を中心とした鶴岡の魅力PRに関する調査活動を組み込んだ。昨年度、2年生(現3年生)の修学旅行を担当した佐藤智武教諭は、「修学旅行でも当校らしい、地域に根差した取り組みを行いたかった。東京の著名な企業などで地元PRの効果的な方法を学ぶことで、その手法を知るだけでなく生徒たちが地元の魅力を改めて認識する機会になればと考えた」と企画意図を話す。

 同校では1年生から地域活性化につながる取り組みとして、公民館などから人を招いて話を聞くなど、学区域のさまざまな歴史や魅力を学ぶ機会を積極的に設けてきた。その上で2年生では、地元のPRに力を入れており、修学旅行での調査活動もその一環として取り組んだ。

 主に総合的な学習の時間を使って行った事前学習では、クラスごとに「遊び」「癒し」「ものづくり」「食」の担当テーマを設定。5、6人のグループに分かれ、全国にPRできる地元の素材は何かなどを下調べし、地域をアピールするキャッチフレーズづくりやPRマップの作成、訪問する企業や団体への事前の質問状の作成などを行った。

 修学旅行は今年2月19~21日に実施し、107人が参加した。1日目はクラスごとに水族館や東京都庁などを見学し、その後ミュージカルを鑑賞。2日目は地元PRに関する調査活動の後、ディズニーリゾートを訪問。3日目は生活班での都内自主研修という内容だ。

 このうち2日目の地元PRに関する調査活動は、総合的な学習の時間の5、6人ずつの学習グループで実施。リクルートライフスタイルや博報堂、NHKといったメディア関係企業などを訪問し、作成した地元をPRするキャッチフレーズを評価してもらう「キャッチフレーズ班」、PRマップへの評価をもらったり、PRのノウハウを伝授してもらったりする「PRマップ班」、地元選出の国会議員の事務所や江戸たいとう伝統工芸館、鶴岡の地域活性化に取り組む昭和女子大学の学生プロジェクトチームなどを訪問し、地域活性化策や地元資源の活用方法などを聞く「インタビュー班」、上野公園で街ゆく人にパンフレットを渡し、学区域や鶴岡についてのインタビューを行う「街頭班」の大きく三つに分かれて活動した。

 このうちPRマップ班では、作成したPRマップについてプロから一定の評価を受けつつも、「誰を対象に作るのか。その相手の興味と地域の情報がかみ合う接点がどこなのかを考えよう」などのアドバイスを受けた。「湯野浜温泉の近くには、あつみ温泉、湯田川温泉もある。その違いは何か」といった逆質問もあり、「生徒たちは、自分たちの地域について深くまで理解できていないことに気づかされていた」と佐藤教諭は話す。

 一方、街頭班では、学区域や鶴岡が意外と知られていることが分かったものの、新型コロナ禍が影響してか、パンフレットを受け取ってくれる人が少なく、担当した生徒たちにとっては、一部苦い経験となってしまったという。

 旅行後、生徒から集めた感想には、「住んでいる自分たちが地元の良さをしっかりと認識していくことが大事であると感じた」「鶴岡の良さを知っている人から、自分たちの知らない魅力を教えてもらうことができて良かった」といった声があり、「地域活性化の学習の延長として初めて行った修学旅行としては、ある程度の成果は得られたのではないか」と佐藤教諭。

 3月上旬から新型コロナウイルスの感染拡大による休校が始まり、中断してしまっていた事後学習だが、9月から再開。修学旅行で集めたインタビューの内容などを参考にして、10代に地元の魅力を再発見してもらえるような日帰りツアーのプランを作成し、10月初めの発表会で披露することで、修学旅行での地域PRに関する調査学習を含めた、3年間の地域活性化学習の総まとめとする考えだ。

佐藤智武教諭

PRマップの表紙

PRマップの中面

鶴岡について聞き取りを行う街頭調査班

日本旅行広報室でキャッチフレーズについて評価してもらう

博報堂で自作のPRマップを手にプレゼンテーションした

地元選出の加藤鮎子衆院議員にインタビュー

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒