日本発祥の参加・体験型アート「トリックアート」。平面の絵が飛び出したり、角度により違う雰囲気の絵に見えたりする不思議なアートだ。横浜・新港地区と東京・お台場にあるトリックアートの常設館は、作品を見るだけでなく、写真に撮ったり、自由に触れたりとさまざまな体験ができる。思い出づくりとともに、芸術性を学び、発想力を養える体験・見学地と、中学や高校の修学旅行で人気を集めている。
横浜トリックアート迷宮館 7月、新たにオープン
横浜のみなとみらいや中心街に近い新港地区の複合施設「横浜ワールドポーターズ」に7月11日、「横浜トリックアート迷宮館」が新たにオープンした。「時空を超えた旅」をテーマに、過去、現在、未来の世界を51点のトリックアートで表現。「錯覚やトリックで時間を超えた旅を作品の中で体験していただける」(同館)。
テーマである時間の移り変わりを感じてもらうため、館内レイアウトに工夫を凝らした。広さ528平方メートルの敷地内を大きく三つのゾーンに分割し、それぞれを表現。
現在をイメージした「ヨーロッパ散策ゾーン」は、ヨーロッパ各国の名所を訪ねた気分になれるさまざまなトリックアートを展示。日本にいながらにして”世界旅行”が楽しめる。
作品の一つ「翼よ、あれがパリの灯だ」は、歴史的偉業である大西洋横断を成し遂げた複葉機がパリの上空を飛ぶ様子を表現。来場者は複葉機の翼の上に乗るなど自由にポーズが取れる。
過去をイメージした「ジャングル体験ゾーン」は、緑豊かなジャングルの中にある遺跡を探検しながらさまざまな危機に立ち向かい、隠し扉を探しだし、迷路を脱出してもらう趣向。
ジャングルの中から出現した巨大なサイと、サイに跳ね飛ばされた丸太がこちらに迫ってくるような臨場感あふれる「守ってくだサイ」、危険生物が飛び交う「コウモリVS毒蛇」が面白い。
未来をイメージした「未来体験ゾーン」は、トリックアートの最新作を惜しみなく投入。
地球を見下ろす宇宙船の鏡に映っているのは自分とは違う別人という「鏡の部屋」、CGのように見える画像だがまぎれもない立体物というユニークな「宙に浮くタイムトンネル」など、新しく開発したトリック、仕掛けを楽しめる。新しいギミック満載の作品はトリックアート自体の未来も表現しているという。今後も継続して最新作を追加し、「進化するトリックアート美術館を目指している」(同館)。
館内を大いに楽しんでもらうため、作品の説明や写真撮影をサポートする美術館スタッフが館内を巡回している。来場者の”冒険”をサポートする美術館スタッフのキャラクター「時の執事」も登場。雰囲気を盛り上げる。
▽横浜市中区新港2の2の1、横浜ワールドポーターズ4階。TEL045(264)9240。不定休で、午前10時半から午後9時まで営業。入場料大人1300円、中学生以下900円。
東京トリックアート迷宮館 人気の浮世絵をだまし絵に
「東京トリックアート迷宮館」は、江戸をテーマにした和風のトリックアートをはじめ、多くの人気作品を展示する体験型の美術館。東京屈指の観光スポットお台場にあり、一般客や修学旅行客で年中にぎわっている。
館内に入り、まず目にするのは「江戸エリア」。「華やかな江戸の彩」をコンセプトに、色彩豊かで親しみやすいモチーフの、和風の作品を数多く展示している。
「トリック浮世絵」と題して、浮世絵の名作をだまし絵にして展示。北斎の「神奈川沖浪裏」で来場者がサーフィンをしたり、子供たちと一緒に雪だるまを転がしたり、現実と絵が一体になったユニークな写真を撮れる。
忍者屋敷では「身長が変わって見える部屋」や「隠し扉」などさまざまな仕掛けが隠されていて、自分が忍者になったような気分を味わえる。
隠し扉を抜けた先は「トリックアート名作ギャラリー」。過去の名作から最新作まで、多くの作品を展示している。
「脳トレコーナー」では、クイズ作品や人気の高い隠し絵を展示。「グッズコーナー」では、来館記念のグッズを販売している。
トリックアート美術館だからこそできる”仕掛け”が楽しい「リアル謎解きゲーム」(別途料金が必要)も開催中。館内で展開されるストーリーをみんなで解いていく体験は、トリックをより不思議なものにしてくれるので、お勧めしたい。
▽東京都港区台場1の6の1、デックス東京ビーチシーサイドモール4階。TEL03(3599)5191。不定休で、午前11時から午後9時まで営業。入場料大人1200円、中学生以下800円。