テレワークが増えたことでZoomなどでのオンライン会議も盛んに行われているが、移動中の新幹線の車内でオンライン会議に参加する場合には、デッキに移動してノートパソコンもしくはスマートフォンを持って参加するしかなかったが、東北新幹線と九州新幹線では期間限定で新幹線の中でリモートワークが可能な車両を設定する。
JR東日本では新幹線オフィス実証実験第2弾となる「リモートワーク推奨車両」を「はやぶさ」の1号車に6月14日から7月16日までの平日に設定する。利用したい場合には、はやぶさ号の2~10号車の指定席券を購入し、車内で1号車に移動することで座席に座りながらの携帯電話での通話やオンライン会議が可能となる。移動がしやすいように2号車の指定席を購入しておくと便利だ。利用できる区間は東京―新青森間となっている。
また、JR九州でも九州新幹線に「シェアオフィス新幹線」を期間限定で設定する。期間は6月14日から30日までの平日で、博多―鹿児島中央の「さくら」号1往復のみであるが、対象列車の6号車を予約することでリモートワーク座席として携帯電話での通話やオンライン会議も可能となる。そして今回、窓側席のみの販売となることで隣には誰も座らないようになっていることから、隣を気にせずに仕事に集中することが可能だ。今回は18席が対象となるが、「さくら」の指定席は2―2のゆったりとした座席配列でグリーン車に近い快適なシートとなっており、筆者も個人的に好きな座席である。そして窓側の席にはコンセントが用意されているのでノートパソコンやスマートフォンの充電も可能となっている。
ネット環境であるが、最近ではほとんどの区間で新幹線車内でのスマートフォンが利用可能であることから、利用者自身のスマートフォンを使ったテザリングで接続できるほか、両方のサービスともに台数限定であるがWi―Fiルータを無料で貸し出してくれるサービスもある。新幹線利用者からも、多少の追加料金を払っても新幹線車内で電話やオンライン会議ができる車両を設定してほしいという要望もある。今すぐには難しいと思うが、16両編成の東海道新幹線において、指定席2両とグリーン車1両をリモートワーク可能な車両にしたら、それなりに需要があるだろう。ただ利用者が少ない今だからできることでもある。今後、満席になった場合においては隣の席の人に迷惑をかける可能性もあり、どのように実用化へ向けて動き出すのかも含めて今回のトライアルに注目したい。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)