秋のシルバーウイークが始まり、最初の3連休初日となる9月18日の朝、私は羽田空港で利用者の様子を取材していたが、昨年に比べると利用者は少なく、保安検査場前の行列は特に見られなかった。
航空会社に取材をすると、昨年比約2~3割減となっており、2年前のコロナ前と比べると約6割減となっているとのことだ。昨年は、秋のシルバーウイーク前に新型コロナウイルス新規感染者数が減少し、7月に東京都発着以外で開始されたGo Toトラベルの利用者も多く、さらに10月1日から東京都発着についてもGo Toトラベルの利用が開始されることが発表されたこともあって旅行ムードが高まり、昨年のシルバーウイークは国内線の便にも満席便が多く出ていた。
しかし、今年については緊急事態宣言中であることに加えて、7月と8月に感染者数が拡大したことで、シルバーウイーク期間の早い段階での旅行予約を敬遠する傾向が見られた。その中でも、新規感染者数が多い沖縄への旅行者の減少が目立ち、昨年と比べて最も落ち込んでいるエリアとなった。以前から見られる傾向ではあるが、出発地よりも旅行先都道府県の新規感染者数によって観光客数が左右される状況となっている。
最近になって新規感染者数が急減し、加えてワクチン2回接種者が増えたことでシルバーウイーク直前の予約も増えたが、混雑するまでには至らなかった。しかし、ただ極端に少ないということではなく、8月前半から9月前半と比べると旅行へ出かける人が増えていることは明確だ。
今回のシルバーウイークで見られる傾向として、事前予約が必要ないマイカーでの近距離旅行が人気だった。特に最初の3連休の中日である9月19日(日)は天気も良かったことから首都圏周辺の多くの高速道路で渋滞が見られるなど、首都圏各地の観光地では多くの人でにぎわっている光景が見られた。
今後は、10月以降に緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置がどの程度の範囲になるのか、またGo Toトラベルの再開が見えてくるのかによっても大きく変わってくることだろう。
ワクチン2回接種者への観光施設や宿泊施設、交通機関での割引や特典などについても議論されることになるが、今後1カ月間の新規感染者数はもちろんだが、新内閣や衆議院議員選挙の結果によっても変わってくることだろう。
ただ、アフターコロナにおける国内旅行の動きが少しずつ出てきていることだけは間違いなさそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)