【交通トレンド分析118】緊急宣言後の週末、国内線は昨対約8割に 鳥海高太朗


 緊急事態宣言が解除された10月1日の朝、羽田空港でANAの井上慎一代表取締役専務執行役員が囲み取材に応じ、10月の予約動向について話した。10月1日(金)から3日(日)までのANA国内線予約数は3日間合計約11万人で、緊急事態宣言中の9月第1週の金、土、日(9月3~5日)に比べると約15%増となった。ただ昨年のGo Toトラベルにおける東京都発着除外の解除および地域共通クーポンの発行開始が始まった10月第1週の金、土、日と比べると約2割減となった。

 9月中旬から新型コロナウイルスの新規感染者数が大幅に減少傾向に転じたことで、10月1日に緊急事態宣言およびまん延防止等重点装置が全国全てにおいて解除されたが、当初は10月の完全解除は難しいという想定が旅行者にあったことで、急激な感染者数減少で実際に10月の予約が入り始めたのは9月中旬からであったとANAは分析している。具体的には、10月運航分の国内線予約において、9月前半は1日当たり約5千人の予約にとどまっていたが、9月末にはその10倍の1日当たり約5万人の予約が入るようになった。JALも10月全体の1日当たり予約数については、9月23~29日の平均値が、その前の週に比べて2.2倍に上がった。

 ただ、車で行くことができる近郊への旅行に比べると、回復のスピードは緩やかになっていることは明らかで、本格的に飛行機を使った国内旅行が戻るのには少し時間が掛かりそうだ。ANAによると、レジャー需要、ビジネス需要ともに堅調に予約が入っているとのことで、特に九州や北海道方面への路線に予約が多い。人気の観光地である沖縄へは最近になって感染者数が減少していることから、今後は沖縄路線の予約も入ってくることが考えられる。このような状況の中で本格的な国内旅行の回復にはやはりGo Toトラベルの再開が不可欠になってくるだろう。10月4日には東京都も久しぶりに新規感染者数が2桁である87人と100人を切るなど、Go Toトラベル再開へ向けての機運が高まっている。10月4日は岸田内閣が発足し、岸田首相が自民党総裁選の中で述べた「Go To2・0」の中身がどのような形になるのかにも注目が集まる。総選挙も10月31日投開票の案が有力となったことで、選挙後の11月中のGo Toトラベル再開に期待する声も多い。

 昨年は国内線の空の便もGo To全盛期の10月と11月の2カ月間は好調に推移したが、感染者数が減少している今、どのくらいの利用者数になるのか注目していきたいと思う。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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