【交通トレンド分析134】新幹線に個室が復活すればおもしろい 鳥海高太朗


 今回は、私がコロナ禍で新幹線に個室が復活したら利用する人は多いだろうという観点で書いてみたいと思う。

 東海道新幹線で2003年まで100系の車両の一部に1人用から4人用の個室が設置されており、私自身も1度だけであるが利用したことがある。その中でも1人用の車両は走る書斎であり、当時は今に比べると新幹線の車内にノートパソコンやワープロなどを持ち込む人はほとんどいなかったことで、むしろ個室でゆっくり過ごすという意味合いが強かった。新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークが加速し、会議などもZoomなどオンラインで行うことも当たり前となった。

 今は、インターネットさえ接続できる環境であれば仕事が普通にできてしまう人がオフィスワーカーを中心に増えている。そうなると新幹線で移動中にオンライン会議をする人も増えており、デッキで会議に参加している人も見られる。

 最近では、東海道新幹線や東北新幹線などでテレワーク車両を設置し、特定の車両ではオンラインで声を発したり、携帯電話の通話が認められている。出張者を中心に需要が増えており、特に東海道新幹線ではエクスプレス予約でテレワーク車両を指定する人が多い。ネット速度もN700S車両を中心に強化し、以前は東北新幹線や北陸新幹線では一部区間で携帯電話の電波が入らない区間もあったが現在ではほとんど解消されている。

 ただ、他の人に聞かれたくない場合などにおいては、オンライン会議の時間に新幹線の移動を控えるケースもあり、駅に設置されている個室ブースを使って会議を済ませるケースもあるが、新幹線に1人用個室を復活すれば、20年前以上に需要はあるだろう。

 飛行機でも個室型のビジネスクラスが導入され、扉が付いていることで完全に個室スペースが確保されているが、新幹線でも完全個室のスペースができれば、仮に現在のグリーン車よりも高額な運賃設定にしても利用はあるだろう。ただ全体的な座席数が減ってしまうことの問題はあるが、いつまでマスク生活が続くかは分からない中で、扉付きの個室で1人であればマスクを外すことも物理的には可能であり、特に移動において万全を期したい時の利用も期待できる。

 正直、かなり高額な運賃設定であっても利用する人は一定数いるだろう。実現の可能性は高くないが、今後のライフスタイルの変化も含めて、JR東日本の「グランクラス」以上に利用があるかもしれない。ぜひ、新幹線の個室復活を検討してほしい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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