【交通トレンド分析15】新千歳空港の快速エアポートが発着枠拡大 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 日本国内の空港の中でも鉄道アクセスが便利な空港の一つである新千歳空港。JR北海道の「快速エアポート」は日中時間帯15分に1本(1時間に4本)で運転されており、新千歳空港駅発は毎時00、15、30、45分発、札幌駅発は毎時05、20、35、50分発と分かりやすいダイヤで新千歳空港駅と札幌駅の間を約37分で結ぶ。1時間のうち2本は小樽駅発着で観光客の多い小樽へもダイレクトでアクセスできるので便利だ。

 1時間に4本あるが、最近では日本人に加えて北海道を訪れる訪日旅行客もアジアを中心に増えており、2017年度に北海道を訪れた外国人は既に279万人となっており、北海道庁では20年度までに500万人の来訪者を目指している。

 東アジアだけでなく、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ハワイなどからの新千歳直行便が運航されており、今年12月15日からはフィンエアーが新千歳~ヘルシンキ線を冬季限定ではあるが週2往復で就航するなど、東京や大阪などを経由しないで北海道へ直接行くことができる直行便が年々増えている。

 筆者も今年4月に初めて新千歳空港の国際線ターミナルの中に取材で入る機会があったが、立派なターミナルになっており、出国審査後のフードコートでは海鮮丼も楽しめるなど、施設も充実しており、さらなる便の拡大に合わせて国際線ターミナルの拡張工事が行われている。

 7月16日には国土交通省から来年の春から日中時間帯(朝7時~夜10時)までの発着枠を現在の1時間あたり42回から50回に増やすことが正式発表されたことで、20年以降は確実に新千歳空港を玄関口とした訪日外国人が増えることだろう。

 JR北海道の「快速エアポート」も新しい車両の製造も開始し、20年春のダイヤ改正から現在の15分間隔を12分間隔にすることで、1時間あたり4本から5本に増発する予定となっている。利用者にとっても乗りたい時にすぐに乗ることができる鉄道の存在はありがたい。

 旅行者はもちろんであるが、出張者においても電車の本数が多いことでさらに便利になることは言うまでもない。

 現在は時間帯によっては着席できずに立って移動することも多いことから、着席チャンスが拡大されることになると共に、510円の追加料金で利用できる指定席「uシート」も買いやすくなるだろう。

 将来的には北海道新幹線が札幌まで延伸することになるが、東京までの距離が離れていることもあり、北海道の玄関口が新千歳空港というのは揺るがないだろう。そのためにも空港アクセスの整備を万全にする必要があるだろう。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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