【交通トレンド分析156】都内レンタサイクル登録が地方でも使えた 鳥海高太朗


 東京都内で最近よく見られるのが赤い自転車。これは、NTTドコモが展開する自転車シェアリングサービスで、都内では30分165円で利用することが可能で、東京都内では11の区で利用できる。

 このサービスはSuicaやPASMOなどのICカードを登録する形で利用可能となっており、自分が持っているクレジットカードにネット上でひも付ける形にて利用することが可能となっている。私自身も、以前から東京で登録したICカードを使い、地方へ出掛けた時にそのまま利用できることを知っていた。

 先日、広島に出張で出掛けた際に午前中少し時間があったので原爆ドームなどを散策しようと思って歩いてホテルを出発した直後に東京で見慣れた赤い自転車を見つけることができた。そして、試しにいつも通りにICカードをタッチしてみると電動アシスト自転車の鍵が開いた。そのお陰で歩いて散策する予定が、自転車移動が可能となった。当初予定になかった平和記念公園まで足を延ばすことができ、風を受けながら広島中心部を短時間で快適に巡ることができた。

 今回は、スケジュールの関係で30分ほどしか散策する時間がなかったが、事前の登録なしに東京で使っているレンタサイクルの登録がそのまま使えたのは本当に便利である。このサービスが国内の多くの都市で利用できるようになれば、もっと気楽に自転車観光が可能になる。

 NTTドコモの自転車シェアリングサービスのホームページを見ると、現在は東京広域連携11区、札幌、練馬、川崎、横浜、仙台、大阪、奈良、広島、大分・別府、嬬恋、笠間、上田・千曲、甲州、名古屋、金沢、敦賀、神戸、西明石において相互利用が可能となっているとのことで、これらの地域に旅行に出掛けて、サイクリングしながら旅を楽しみたい人は気軽に利用することが可能だ。やはり、東京で普段使っている人にとって、旅行先でそのまま使えることはストレスフリーの旅になると共に、コロナ禍において「密」にならない観光スタイルの一つにもなる。そして健康的に広域にわたってその街を巡ることが可能である。

 最近、首都圏で使っているSuicaやPASMOも地方のバスや路面電車などでも利用できる機会が増えているのに近い傾向である。

 自転車シェアリングサービスにもさまざまな運営母体があるが、課金の仕組みを共用化することで、日本全国で気軽にレンタサイクルを利用できるような連携を強化することで自転車がもっと観光に活用できるだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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